The previous night of the world revolution8~F.D.~

ルレイアに連れて行かれた場所は、旅行客向けの観光地でも、ショッピングセンターでもなかった。

「ルレイア…ここ、何処だ…?」

「シェルドニア王国王都の中央卸売市場ですよ」

と、ルレイアは満面笑みで答えた。

ちゅ…中央卸売市場…?

「卸売市場って…業者が仕入れに来るところだろ?普通のスーパーとは違うんじゃ…」

「分かってますよ。でも、シェルドニア王国の中央卸売市場は、業者だけじゃなくて一般客にも販売してるんです」

とのこと。

へぇ…それは面白いな。

わざわざスーパーに行かなくても、卸売市場で直に買い物出来るのか。

スーパーで買うよりも新鮮なものが買えそうだし、利用する人は多そうだな。

実際、広々としたシェルドニア王国中央卸売市場は、多くの買い物客で賑わっていた。

卸売市場…と言うより、お洒落な青空市場、って感じの雰囲気だな。

「そうか…。まぁ、買い物するには良い場所かもな…」

毎日毎食、外に食べに行くのも大変だし。
 
折角だからここで食材を買って、自炊しよう。

…しかし、俺は卸売市場に入るまで、失念していた。

シェルドニア王国の食べ物は、ルティス帝国のそれとは大きく異なっているのだということを。

「さて、まずは新鮮な野菜から見ていきましょうか」

「あぁ…。…あっ…!?」

「?どうしました?」 

「…」

紫とか黄色とかオレンジ色とか、カラフルな野菜がうず高く積み上がっていた。

いつぞやルリシヤと一緒に食べた、水色の実も大量に。

塩炒めにしたら美味しかった奴。

…うわぁ…。また出会っちゃった…。

「あ、見てくださいよルルシー。シェルドニアダイダイコン、ですって。煮物にしたら美味しいらしいですよ」

ルレイアが、オレンジ色の大根を指差した。

キモっ…。大根は白だろうよ。どう考えても。

一気に食欲が失せてきた。

でも、買い物に来ているお客さん達は。

平然と、カラフルな新鮮野菜を次々に購入している。

紫色の菜っ葉とか。例の水色の実も。

…まぁ、見た目はアレだけど、実際食べてみたら普通に美味しいからな。

見た目のインパクトを乗り越えれば…まだ、何とか…。

…でも気持ち悪いものは気持ち悪い。

「…それで…?ルレイアは何を買いに来たんだ…?」

カラフルな野菜を見ていたら、なんか脳みそがバグってきそうだから。

早いところ買い物を済ませてくれ。頼む。

「えぇっと、俺が欲しいのはですねー…。…あ、あったあった」

「…?」

ルレイアは、何やら黒いゴルフボールみたいな野菜が大量に詰まったコンテナに歩み寄った。

俺も後から続いて、恐る恐る近寄ってみてから気づいた。

「これ…玉ねぎか?」

「正解!シェルドニアマックロオニオンです」 

…黒い玉ねぎ、だって。

…それ、カビじゃね?