The previous night of the world revolution8~F.D.~

ーーーーーー…ほぼ同時刻、帝国騎士団では。

「どういうことだ、ルレイア・ティシェリーは今何処にいる!?」

「さぁ…何処だろうな…」 

悪意に満ちた新聞記事のせいで、世間様を敵に回してしまった帝国自警団。

どうするのだろうと思っていたら。

責任を追及される前に、帝国自警団団長のブロテ・ルリシアスは、ルレイアの保護を解除することに決めた。

帝国自警団の庇護がなければ、最早この国に、ルレイアを公然と守れる組織はなくなる。

従って、帝国自警団から追い出されると同時に、俺達でルレイアの身柄を引き取る…ってことになるはずだったが。

幸か不幸か、そうはならなかった。

帝国自警団本部に、解放されるルレイアを迎えに行ったところ。

そこは、既にもぬけの殻。

ルレイアの姿は何処にもなかった。

これはどういうことだ、とブロテに尋ねてみたところ。

ブロテはいけしゃあしゃあと、「ルレイア卿が何処に行ったのか分からない」と抜かした。

というのも、帝国自警団が正式に保護を解除する前に、ルレイアとルルシーは二人して姿を消したそうだ。

追放されることを事前に察知して、捕まる前に逃げたのだろう、とのことだった。

だから、ブロテはもうルレイア達の居場所は分からない、帝国自警団の中にはいない、と言い張った。

いや、分からないはずがないだろう。

どう考えても、ルレイア達を逃したのはブロテの仕業だ。

ルレイアを俺達帝国騎士団の手に渡さない為に、保護を解除する前に何処かに逃したのだ。

馬鹿でも分かる理屈である。

しかし、ブロテが「知らない」と言い張る限り、こちらとしては何も言えなかった。

いや、知ってるはずだろ、と言っても。

知らぬ存ぜぬの一点張りじゃあ、そうですかと引き下がるしかない。

「恐らく、既に国内にはいないだろうな」

と、オルタンス。

…そうだな。俺もそう思う。

今頃あいつは、相棒のルルシーと共に、国外で優雅に紅茶でも飲んでるんじゃなかろうか。

「…お前は知ってるんじゃないのか?」

五番隊隊長のアストラエアが、じろっとルシェを睨んだ。

が、ルシェは涼しい顔で、

「私の知ったことではない」

と、一喝。

…果たして本当に知らなかったのか、それとも知っていて黙っていたのか。

別にどっちでも良い。いずれにしても、ルレイアが今何処にいるのかなんて分からないんだからな。

ブロテを問い詰めたって、口を割るつもりはないようだし。 

俺達としては、最早手出しは出来ない。

今の俺達に出来ることと言えば…。

「…駄目元で、アシスファルト帝国と箱庭帝国に照会してみるか」

国内にルレイアを匿ってないか、ってな。

…まぁ、無駄だと思うけど。

「ルレイアが無事に逃げたようで良かった」

オルタンスは、露骨にホッとしていた。

…おい、そこは嘘でもルレイアを庇うなよ。

「…何処で何やってんだろうな、今頃…」

悔しそうな俺達を、高笑いしながら見下ろしているルレイアの姿が思い浮かんで。

何となく悔しい気分であった。