The previous night of the world revolution8~F.D.~

さて、『ブルーローズ・ユニオン』本部を後にして、『青薔薇連合会』本部に帰還。

俺は、先程話した「平和的手段」を、他の幹部達に話して聞かせよう…と、思ったのだが。

「あぁ、戻ったねルレイア。良かった、すぐに、今から支度してもらえるかな」

俺の顔を見るなり、アイズがそう言った。

…ほう?

「それと、これが招待状ね。場所は帝都の○○ホテル。私の名前を出せばすぐ入れるように手配しておいたから」

「ちょ、ちょっと待てアイズ。さっきから何の話だ?」

ルルシーが割って入り、アイズに尋ねた。

「だって、ルレイア。カミーリア家の御婦人かお嬢さんを落として、『ローズ・ブルーダイヤ』をカミーリア家に返しに行くんでしょう?」

「えっ…!アイズが何でそんなこと知ってるんだ…?」

まさか俺達とセルテリシアの話し合いを、盗み聞きしてた?って聞きたくなりますけど。

そうじゃないことは、よーく分かってますよ。

「さぁ。ただ、ルレイアならそうするかなって思っただけだよ」

「…!」

ルルシーが目を見開いて感心していると。

「アイズ、これ頼まれてた書類…。あっ、ルレイア。お帰り。戻ってきたのね」

「シュノさん。ただいま」

そこに、書類の束を抱えたシュノさんがやって来た。

シュノさんは、俺の姿を見るなり目を輝かせた。

俺達のいない間に、何やら動いてくれていたようですね。

「ありがとう、シュノ。その書類、ルレイアに渡してあげてくれる?」

「うん、分かった…。はいっ、ルレイア。これ」

「ありがとうございます、シュノさん」

俺の予想が正しかったら、この書類は…。

「ウチの情報班に調べさせた、カミーリア家の調査書。家族歴や、簡単な身辺調査もしてある」

やっぱり。

そうだと思いました。

「アイズ、お前…。いつの間に、こんなもの用意して…」

「必要になると思ったものだからね。昨日のうちに調べさせておいたんだ」

「…」

あまりのアイズの手際の良さに、ルルシーは目を丸くしていた。

さすがアイズ、と言ったところですか。

話が早くて助かりますよ。

「と言っても、さすがに時間が足りなかったから、表面的なところまでしか調べられなかったけどね…。詳しいことは今、調べさせてる最中だから。もう少し待ってもらえるかな」

「いいえ、これだけでも充分ですよ」

何なら、事前情報無しに相手を落とすことだってある訳で。

それに比べたら、少しでも先に情報を得られるのは有り難い。

…それから…。

「アイズ、さっき言ってた…ホテルかどうとか、招待状かどうとかいうのはどういうことなんだ?」

と、続けて尋ねるルルシー。

あぁ。さっき言ってましたね。

「カミーリア家のご婦人やご息女に近づく機会がないか、探ってみたんだけどね…。早速、今日の夜に、帝都のホテルでとある貴族のご当主…。ロベリア家っていう中級貴族なんだけど。知ってる?」

「えぇ。勿論聞いたことありますよ」

「そのロベリア家の当主の誕生パーティーが開かれるらしくて、そこにカミーリア家の次女が参加予定らしいんだ」

…ほう。

貴族のお誕生日会ですか。それはそれは。

だが、そこに今回の「ターゲット」が来てくれるなら、俺にとってはチャンスである。