The previous night of the world revolution8~F.D.~

ーーーーー…アイズレンシアさんから、アリューシャさんと共に新聞を買いに行った後。

図らずも、『青薔薇連合会』の幹部会議に参加させてもらった俺は。

非常に不穏な会議を終えて、冴えない気分のまま家路についた。

…いつもなら、家に帰る時はうっきうきしてるんだけどなぁ。

可愛い俺の嫁、フューニャが家で待ってるかと思うと…帰り道、顔が自然とニヤけてしまうのも無理ないだろう?

しかし、今日ばかりは気が重かった。

今頃ルレイアさんが、そして俺の上司であるルルシーさんが、どれほど苦悩しているかと思うと。

敬愛するルルシーさんの為に、何も出来ない自分がもどかしかった。

俺が出来たことと言えば、アリューシャさんと一緒にコンビニを駆け回って、新聞を買ってきたことくらい。

そんなお使い、小学生にだって出来る。

俺もアイズレンシアさんやルリシヤさんやルーチェスさんみたいな、明晰な頭脳があれば…もっと役に立てたかもしれないのに。

情けない自分の身を呪いながら、暗い面持ちで帰宅。

「フューニャ…ただいま…」

我ながらしょんぼりと、覇気のない声と顔で帰宅した。

…すると。

「…じーっ…」

「わっ…。フューニャ…」

可愛い我が嫁フューニャは、廊下の柱の影からじーっとこちらを見つめていた。

び、びっくりした…。可愛いけど…。

「ど…どうしたんだ?フューニャ…」

「…」

フューニャは無言で、とてとてとて、と近寄ってきたかと思うと。

俺の前にやって来て、ふんふん、ふんふん、と匂いを嗅ぎ始めた。

出た。フューニャの特技。

うちの可愛いフューニャは、警察犬顔負けの優れた嗅覚を持っている。

フューニャの鼻にかかれば、今日の昼に何を食べたかも、さっきまで誰と会っていたかも、全て筒抜けなのである。

嘘だと思っただろう?…全部本当のことだ。

フューニャはいつも、俺が帰宅すると、よその女や男とふしだらな真似をしていないか。

つまりは、俺が浮気していないかを、匂いでチェックする。
 
匂いなんかで分かるのか?と思ったそこのあなた。

甘い。その考えは甘いぞ。

名探偵フューニャには、匂いだけで何でもお見通しなのである。

「ふんふん…。ふんふん…。…ふむ」

「…フューニャ?」

「この匂いだと…。さっきまで会っていたのは、同僚の幹部達ですね?」

ほらな。お見通しだろう?

「それから、食べ物の匂いもしますね…。おでんや肉まん…。さてはコンビニですね」

「あぁ…ちょっとアイズさんに頼まれて、新聞を買いにな…」

「ふむ、そうですか」

どうやら、フューニャの浮気チェックに合格したようで。

フューニャは、ぽふ、と俺に抱きついてきた。

どうしよう。めっちゃ可愛い。

今日一日の疲れが、空の彼方に飛んでいく。

やっぱりうちのフューニャ以上に可愛い女の子なんて、この世に存在しないなぁ。

ぐりぐり、と頭を押し付けてくる可愛いフューニャを、よしよし、と撫でてやった。

一日のうちで、こんなに幸せな瞬間は存在しないよ。