The previous night of the world revolution8~F.D.~

「凄い、これ美味しい。ただの野菜スープなのに、何でこんなに美味しいの?」

「ふっふっふ。美味しいでしょう?ルルシーの料理は最高なんですよ」

…何でお前が得意げなんだ?ルレイア。

「何せ、隠し味にルルシーの手汗がたっぷりと、もごもごもご」

「要らんことを言うな」

食欲が失せるだろうが。馬鹿。

ちゃんと手ぇ拭いてから作ってるよ。失礼な。

しかし有り難いことに、ブロテはそんな細かいことは気にしないタイプだった。

「凄いね、器用なんだ」

パクパクとミネストローネを食べながら、ブロテが俺に言った。

そんな…器用とかそういう訳じゃ。

「レシピがあるから…誰にでも出来るよ」

「自警団では、料理をする人って滅多にいないから…。普段もお弁当だし」

そうなんだ。

それで、あのジャンクフード漬けの食生活が出来上がったのか…。

ミネストローネをパクパク食べてる辺り、別に野菜が嫌いだから食べないって訳じゃないみたいだな。

「…悪いんだけどさ、今度から俺とルレイアの食事は、自分で作っても良いかな」

「えっ。そんなこと出来るの?」

「まぁ…。やろうと思えばな」

今、部屋の中に軟禁されてるだけで、他にすることないし。

…正直、自警団側が用意してくれる弁当は、カロリー過多で食欲が湧かない。

「すごーい…。ルルシー卿って、料理上手なんだ…」

「そうなんですよ。俺の奥さん、凄いでしょう?」

「うん、凄いね」

何でお前が得意げなんだ、ルレイア。

…で、誰が奥さんだって?

適当なこと言ってんじゃねぇぞ。

「それに、俺は大したことねぇよ…。ルリシヤとかルーチェスに比べたら…。俺なんてまだまだだよ」

「え、ルリシヤとルーチェスって…幹部仲間の人達だよね?」

ブロテも知っていたか。

「あぁ。あいつらは…本当に料理上手いぞ」

「へぇ…。こんなに美味しいスープを作れるルルシー卿がそこまで言うなんて…。本当に上手いんだろうね」

「俺はルルシーのご飯、好きですけどね」

と、ルレイア。

ありがとうな、そう言ってくれて。

でも…俺としては、正直ちょっと劣等感感じてたんだよ。

「ルリシヤはともかく、最近料理を始めたばかりのルーチェスにさえ負けてるからな…。別に張り合ってるつもりはないけど…」

「まぁ、ルーチェスは俺に似て、手先が器用ですからね」

そうだな。

自画自賛も良いところの台詞だが、事実だから言い返せない。

「じゃあルルシーがわざわざ料理の本をリクエストしたのは、これが理由なんですか?料理の腕を磨く為に?」

「え?いや…まぁ、確かにそれもあるけど、一番はルレイアに食べて欲しかっ、」

「…もしかして俺の為、なんですか?」

「…」

ルレイアの、キラッキラ輝く眼差しを見て。

やべぇ、失言だったと気づいた。

が、もう遅かった。

「ルルシーが…ルルシーが俺の為に…」

「…いや、あの、違うからなルレイア。今のは言葉の綾、」

「ルルシぃぃぃっ!」

「ちょ、くっつくな!!」

自分の為と聞いて、感激のあまり飛びついてくるルレイアを。

「二人共、本当に仲良しなんだね」

ドン引きするどころか、微笑ましそうに見ているのだから、ブロテの器の深さは底知れない。