セルテリシアは、じっとテーブルの上のジュエリーボックスを見つめた。
…そして。
「…ルレイアさん。私は誓って、部下に『ローズ・ブルーダイヤ』を盗み出すように指示していません。あなた方を陥れるようなこと、『青薔薇連合会』の名に傷をつけるようなことは…一切していません」
「そうですか」
「ですが、私の部下が、独断で『ローズ・ブルーダイヤ』を盗み出したのなら…その責任は、私が取らなければなりません」
…ほう?
セルテリシアは怯えた表情の奥に、決意を固めた眼差しでこちらを見つめていた。
「私が…私が責任を持って、『ローズ・ブルーダイヤ』をカミーリア家の方々にお返しします」
「…!セルテリシア様…!」
側近のミミニアが、驚愕に目を見開いてセルテリシアを制止した。
「いけません…!そのようなことをしてら、セルテリシア様が咎めを受けることに…」
「私の部下が行ったことなら、私がその責任を取らなければなりません」
へぇ。
殊勝な心掛けじゃないか。部下に責任をなすりつけることしか考えてない、ローゼリア元女王にも聞かせてやりたい。
「勿論、犯人は必ず見つけ出します。その上で、責任を持ってダイヤをカミーリア家の方々に返します。決して、ルレイアさん達に迷惑は…」
「既に迷惑、かけられまくってますけどね」
「…それは…返す言葉もありません」
分かっているならよろしい。
一見小娘に見えて、確かに小娘なんだけど、一応これでも、人の上に立つ者としての最低限の資質は備えているらしい。
先日の件で俺に手酷くやられて、少しは成長したか?
…でも。
残念ながら、事態はもう、セルテリシアが謝罪して全てが丸く収まる、という段階を越えている。
「大変殊勝な心掛けで結構ですが、残念ながら、あなたが謝る程度じゃ済みませんよ」
「…え…?」
セルテリシアがいかに謝罪しようとも、『ブルーローズ・ユニオン』の犯行だとバレた時点で。
『青薔薇連合会』の名に傷がつく。最悪、裏社会における『青薔薇連合会』の地位を揺るがしかねない。
お偉い上級貴族様は、総じて、裏社会のマフィアだの地下組織だのは、薄汚いチンピラの集まりだと思っている。
ハナから俺達を見下している。
自分も貴族だったから、よく分かる。貴族連中が俺達マフィアのことをどう思っているのかは。
セルテリシアが謝罪したって、素直に聞き入れて許してくれるとは思えない。
むしろ、「お前ら全員ブタ箱に叩き込んでやる」とブチギレるんじゃないだろうか。
こちらの事情など加味してくれない。
路地裏のネズミが謝ってきたって、聞き入れるはずがないだろう?それと同じだ。
ネズミは一匹残らず捕まえて駆除。当然のことだ。
「ルリシヤ。…カミーリア家の動きは?それに、帝国騎士団は」
俺は、ルルシーの反対隣に座っているルリシヤに声をかけた。
ルリシヤはタブレット端末を操作しながら、
「ふむ…。今のところ変化はない。どうやら連中、宝物庫から『ローズ・ブルーダイヤ』が盗み出されたことに、まだ気づいてないようだな」
それもまた間抜けな話ですね。
大事にしまい込み過ぎて、なくなったことにも気づかないとは。
もう、そのまま一生紛失に気づかずに生涯を終えてくれませんかね。
「だが、彼らがダイヤの紛失に気づくのは時間の問題だろう。遠かれ早かれ、捜索が始まるはずだ」
「…でしょうね」
今日、今この瞬間に気づいて、捜索が始まってもおかしくないのだ。
…そして。
「…ルレイアさん。私は誓って、部下に『ローズ・ブルーダイヤ』を盗み出すように指示していません。あなた方を陥れるようなこと、『青薔薇連合会』の名に傷をつけるようなことは…一切していません」
「そうですか」
「ですが、私の部下が、独断で『ローズ・ブルーダイヤ』を盗み出したのなら…その責任は、私が取らなければなりません」
…ほう?
セルテリシアは怯えた表情の奥に、決意を固めた眼差しでこちらを見つめていた。
「私が…私が責任を持って、『ローズ・ブルーダイヤ』をカミーリア家の方々にお返しします」
「…!セルテリシア様…!」
側近のミミニアが、驚愕に目を見開いてセルテリシアを制止した。
「いけません…!そのようなことをしてら、セルテリシア様が咎めを受けることに…」
「私の部下が行ったことなら、私がその責任を取らなければなりません」
へぇ。
殊勝な心掛けじゃないか。部下に責任をなすりつけることしか考えてない、ローゼリア元女王にも聞かせてやりたい。
「勿論、犯人は必ず見つけ出します。その上で、責任を持ってダイヤをカミーリア家の方々に返します。決して、ルレイアさん達に迷惑は…」
「既に迷惑、かけられまくってますけどね」
「…それは…返す言葉もありません」
分かっているならよろしい。
一見小娘に見えて、確かに小娘なんだけど、一応これでも、人の上に立つ者としての最低限の資質は備えているらしい。
先日の件で俺に手酷くやられて、少しは成長したか?
…でも。
残念ながら、事態はもう、セルテリシアが謝罪して全てが丸く収まる、という段階を越えている。
「大変殊勝な心掛けで結構ですが、残念ながら、あなたが謝る程度じゃ済みませんよ」
「…え…?」
セルテリシアがいかに謝罪しようとも、『ブルーローズ・ユニオン』の犯行だとバレた時点で。
『青薔薇連合会』の名に傷がつく。最悪、裏社会における『青薔薇連合会』の地位を揺るがしかねない。
お偉い上級貴族様は、総じて、裏社会のマフィアだの地下組織だのは、薄汚いチンピラの集まりだと思っている。
ハナから俺達を見下している。
自分も貴族だったから、よく分かる。貴族連中が俺達マフィアのことをどう思っているのかは。
セルテリシアが謝罪したって、素直に聞き入れて許してくれるとは思えない。
むしろ、「お前ら全員ブタ箱に叩き込んでやる」とブチギレるんじゃないだろうか。
こちらの事情など加味してくれない。
路地裏のネズミが謝ってきたって、聞き入れるはずがないだろう?それと同じだ。
ネズミは一匹残らず捕まえて駆除。当然のことだ。
「ルリシヤ。…カミーリア家の動きは?それに、帝国騎士団は」
俺は、ルルシーの反対隣に座っているルリシヤに声をかけた。
ルリシヤはタブレット端末を操作しながら、
「ふむ…。今のところ変化はない。どうやら連中、宝物庫から『ローズ・ブルーダイヤ』が盗み出されたことに、まだ気づいてないようだな」
それもまた間抜けな話ですね。
大事にしまい込み過ぎて、なくなったことにも気づかないとは。
もう、そのまま一生紛失に気づかずに生涯を終えてくれませんかね。
「だが、彼らがダイヤの紛失に気づくのは時間の問題だろう。遠かれ早かれ、捜索が始まるはずだ」
「…でしょうね」
今日、今この瞬間に気づいて、捜索が始まってもおかしくないのだ。


