The previous night of the world revolution8~F.D.~

…で、それから約一時間後。

「よし…。こんなもんかな…」

鍋の蓋を開けると、ミネストローネがぐつぐつと美味しそうな音を立てていた。

うん。トマトの酸味が良い感じ。

トマト缶を使わず、生のトマトを煮込んで作った逸品である。

…って、レシピ通り作っただけだけどな。

「わーい。さすがルルシー。美味しそうですね」

ここ数日で一番嬉しそうなルレイアである。

良かった。喜んでもらえたようで。

「ちょっと早いけど…。早速食べるか?」

「はい。出来立てをいただきます」

よし。

「『青薔薇連合会』の幹部が…本当に料理を作ってるなんて…」

ルレイアと一緒に、俺の後ろで見ていたブロテもびっくりである。

…あのな。なんか誤解してるのかもしれないけど。

『青薔薇連合会』の幹部だって、普通の人間だからな。

料理くらい作るよ。

「…良かったら、ブロテも食べてみるか?」

「えっ、良いの?」

「こんなもので良ければ…。毒とかは入れてないから安心してくれ」

「うん、大丈夫。そんな心配はしてない」

そうか。

まぁ、ジャンクフード大好きなブロテの口に合うかどうかは分からないが。

たまには野菜も食べた方が良いと思うぞ。

出来立てのミネストローネを、深いスープ更に入れて、スプーンと共にテーブルに置く。

ここ数日、大いに不足している栄養を補う為に、大量の野菜をたっぷり使用している。

「いただきまーす」

「はい、どうぞ…」

ルレイアは大喜びでスプーンを手に取り、ミネストローネを頬張っていた。

「…どうだ?美味い?」

レシピ通り作ったから、味は大丈夫だと思うけど…。

「はい!ルルシーの愛情がたっぷりこもってて美味しいですよ」

「そうか。愛情は1グラムも入ってないが、美味しいなら良かったよ」

「もー。ルルシーったらシャイなんだから〜」

うるせぇ。黙って食べてろ。

何ならおかわりもあるぞ。

俺もひとくち味見してみたけど、トマトの酸味が効いていて、結構美味しい。

うん。これはなかなか。

久し振りに、まともに野菜を摂取したような気がするよ。

…そうだ、ブロテは。

ちらりとブロテの方を見ると、目の前のスープ皿を、しげしげと眺めていた。

「…別に怪しいものは入ってないぞ。食べてみろよ」

「う、うん…。じゃあ、いただきます」

ブロテは恐る恐る、スプーンを口に入れた。

「はむっ…」

「…どうだ?口に合ったか?」

「…!美味しい…!」

野菜たっぷりミネストローネに、ブロテの目が輝いた。

良かった。ジャンクフードが好きだけど、野菜が食べられない訳じゃなかったんだな。

アリューシャより大人だ。