The previous night of the world revolution8~F.D.~

…と、いう訳で。

その日の昼食は、俺が自分で作ることにした。

材料だけ自警団の団員に買ってきてもらって、自警団本部のキッチンに案内された。

まぁ、キッチン…と言っても、給湯室くらいの貧弱な設備しかない上に。

「…全然使われてないみたいだな…」

「そうですね…」

全然使われていなかったらしいキッチンは、シンクに埃が溜まり、おまけに壁にカビが生えていた。

…料理の前に、まず掃除したくなってくるな。

まぁ良いや…。設備は最低限だけど、一応使えなくはないから。

「ルーチェスが見たら、大急ぎで掃除を始めようとするでしょうね」

「あぁ…。あいつは『青薔薇連合会』の誰よりも主夫だからな…」

それでいて、元皇太子なんだぜ。信じられるか?

「ともかく…作るか。ルレイア、その本を開いてくれ」

「えっ…。これ、昨日届いたルルシーのえっちな本ですよね?」

「ちげーよ…」

その…料理の本だよ。

「えぇと…『食欲がない時のヘルシーメニュー』…ですか」

「あぁ、そう…」

そういうタイトルの料理本。

ヘルシーで野菜たっぷりのメニューがらいくつも掲載されている。

お粥とかサラダとか、酢の物とか。

ブロテに見せたら、あまりのカロリーの低さにびっくりだろうな。

「…ルルシー、今食欲ないんですか?」

「え?いや…俺じゃなくてさ。お前が」

「えっ?俺ですか?」 

「うん。ルレイアが…最近、あんまり食欲ないみたいだったから…」

「…」

昨日だって、晩飯食べてなかったし…今朝も。

いや、まぁそれは弁当があまりにハイカロリーだったせいでもあるんだが…。

「俺が作ったものだったら、ルレイアも少しは食欲が湧くかと思って…。…って、何だその顔」

「…ルルシー…あなたって人は…」

ルレイアの。目が。

きらきらと、それこそ『ローズ・ブルーダイヤ』のごとく輝いていた。

「…何だよ。どうした?」 

「ルルシー!しゅき!」

「ちょ、抱きついてくるな!」

ここは『青薔薇連合会』じゃないんだぞ。

『青薔薇連合会』だったら、ルレイアがくっついてくるところを見られても、「あぁいつものことか」って皆軽く流してくれるけど。

…って、こんなのを「いつものこと」と認識してる方がおかしいんだけど。

一般の人が見たら、何処からどう見てもへんた、

「…何やってるの?」

「ひぇっ…」

案の定、声がして振り向くと。

ブロテが、ドン引きの表情でこちらを見ていた。

…ほらな。言わんこっちゃない。

完全に、「男同士でくっついてる変態」を見る目。

「…あのな、ブロテ。勘違いはするなよ。これはルレイアの悪ふざけで、」

「大丈夫。私は帝国自警団の団長だから。性的マイノリティにも偏見を持たずに広い心で受け入れるから」

「…だから違うんだって」

あとルレイア。何を満足そうな顔してるんだ、お前は。

そういう態度が誤解を招くんだよ。

…はぁ、もう良い。

「…それで?何だよ、ブロテ。俺に何か用か?」

やっぱりキッチン使うの禁止、って言うんじゃないだろうな?

「いや…。ルルシー卿が料理を作るって言うから…。本当に大丈夫なのかな、と思って…」

…それで、心配になって見に来たのか?