The previous night of the world revolution8~F.D.~

俺は、淹れたばかりの熱々の紅茶をテーブルの上に置いた。
 
ここにミルクと砂糖を注いで…っと。

ティースプーンで掻き混ぜて、完成。

「はい、ルルシー。紅茶どうぞ」

俺が手ずから淹れた紅茶ですよ。しかも、ちゃんと葉っぱから淹れました。

これ飲んで落ち着きましょう。

「あのな、ルレイア…。もう少し警戒しろよ。その紅茶の葉っぱだって、何が混ぜられてるか分かったもんじゃ…」

「うん、美味しい。はいルルシーもどうぞ」

「ちょ、熱っ!カップを無理矢理押し付けるな」

だって、ルルシーが飲んでくれないから。

実力行使ですよ。

「そういう面倒なことは、とりあえずちょっと落ち着いてから考えましょう?」

「はぁ…。…お前と居ると、何だか気が抜けてくるよ…」

諦めてくれたのか、ルルシーは大人しく紅茶を啜った。

そう、それで良いんです。

「…美味い…」

「でしょう?」

ルルシーは、はぁ、と大きな溜め息をついた。

官能的で素敵ですね。

俺はルルシーと向かい合って、ふかふかのソファに座った。

「どうせ俺達、今日からしばらくここから出られないんですし、今から気を張ってたら疲れますよ?」

「それは…そうだけどさ…」

「俺はもう心配してないですよ。実際、これでもう俺達に選択肢はなくなったも同然ですしね」

「…っ!どういう意味だ?」

ルルシーはティーカップを慌ててソーサーに置いて、前のめりに尋ねた。

あれ、ルルシー気づいてなかったんですか?

「だって、そうでしょう?今頃、ルティス帝国内のありとあらゆる国境検問所で、お尋ね者になってますよ」

「…!それは…」

さっき、バスに乗って帝都から、更にルティス帝国から出ようとした時。

あれが、安全に国外に逃げる最後のチャンスだったのだ。

ブロテの話だと、俺は既に容疑者として指名手配されてしまっている。

陸路だろうと海路だろうと、最早関係ない。

「ルリシヤの用意してくれた偽造パスポートがあれば、まだ何とかなるかもしれませんが…。まぁ、いずれ足がつくでしょうね」

「…そんな…。じゃあ俺達、実質、この帝国自警団に閉じ込められたってことになるのか…?」

「さすがルルシー。ご明察ー」

「笑って言ってる場合かよっ…!」

だって、ルルシーがあんまり険しい顔をしているものだから。

ちょっと元気出してもらおうと思っただけですよ。

まぁ、今のルルシーには逆効果のようですけど。

「本気かよ…?じゃあ、もしブロテが…『やっぱり帝国自警団で保護するのやめる』って言って、俺達を外に放り出したら…」

「速攻帝国騎士団に捕まって、敢え無くお縄ですね」

「…っ…!」

しかも、こうなった以上、捕まるのは俺だけじゃない。

逃亡幇助の罪で、ルルシーも一緒に捕まりますね。

ルルシーが一緒なら、それも悪くないかなぁと思ってしまうのだから不思議ですね。