The previous night of the world revolution8~F.D.~

「どういうこと…?隠れ蓑って…」

シュノ幹部は、二人の会話の意図を図りかねて、そう尋ねた。

「さっきからこの人、ルレイアを守るって言ってるけど…。どうやって?帝国騎士団に『ルレイアを差し出せ』って言われたら、帝国自警団だって逆らえないんじゃ…」

「シュノ。帝国自警団にはね、帝国騎士団とは別に、独自の逮捕権があるんだ」

と、アイズレンシア幹部が説明した。

…その通りだ。

「同時に、容疑者の保護権も持ってる。帝国自警団がルレイアを保護することを決めたら、帝国騎士団と言えど、容易に手出し出来なくなるんだよ」

「えっ…。そんな制度があるの?」

驚きを隠せないシュノ幹部に、アイズレンシア幹部が頷いた。

この制度は元々、帝国騎士団の独裁を防ぐ為に作られたものだ。

実際には、使われたことはほとんどない。

しかし幸い、まだこの権利は残っている。

私達なら、帝国自警団権限を使ってルレイア卿を保護することが出来る。

マフィアの幹部を保護するなんて前例のないことだが、前例がないなら私が作れば良い。

それで正義を貫けるならば。

「この人達に…ルレイアを託して良いの?」

「…少なくとも、今の私達よりは、このブロテ団長達の方がルレイアの力になれるだろうね。…悔しいけど」

…。

「大切な仲間を預けるのは、勇気の要ることだと思う。でも信じて。決して、私達はルレイア卿を悪いようにはしないから」

私は帝国自警団の団長として、彼らにそう告げた。

これは、紛れもない私の本心だった。

人を見る目に優れたアイズレンシア幹部なら、私の気持ちを分かってくれるはず。

アイズレンシア幹部は、じっと私のことを見つめ。

そして、決断を下した。

「…分かった。ルレイアのことは、君に任せるよ」

「…!良かった…」

…やっぱり、信じてもらえたようだ。

そうと決まれば。

「じゃあ、早速ルレイア卿を…」

「残念だけど、ルレイアは今ここにはいない」

…えっ。

今度は、私が驚く番だった。

この期に及んで、嘘をついているのではないことは私にも分かった。

「ここにはいない…?じゃあ、何処に…」

まさか、もう帝国騎士団の手が回って、

「帝国騎士団から逃れる為に、今しがたルルシーと一緒に出ていったんだ」

「えぇっ…」

そんな…私、もしかして入れ違い?間に合わなかったの?

「恐らく、今頃帝都を出ようとしてるところだと思う」

「そ、そんな…それじゃ、急いで追いかけなきゃ…」

ぐずぐずしてはいられない。

ルレイア卿が帝都から出ていってしまったら、追いかけるのはますます大変だ。

何としても、帝都を出る前に見つけなくては。

「多分、バスを乗り継いでいくつもりだと思う」

「わ、分かった」

じゃあ、私は急いでバスターミナルに駆けつけよう。

ユナとセルニアには、別の場所を探してもらって…。

「ルレイアと…それから、ルルシーのことも宜しく頼む。彼らのことを守ってあげて欲しい。…無力な私達の代わりに」

「…うん、任された」

アイズレンシア幹部の言葉に、私はしっかりと頷いた。