The previous night of the world revolution8~F.D.~

私は、すぐに自警団仲間のユナとセルニアの二人を伴って、『青薔薇連合会』本部に急いだ。

二人には、道中でかいつまんで事情を話した。

私の性分をよく知っている彼らは、私がルレイア卿を保護することに賛成してくれた。

「ブロテが正しいと思うことを貫けば良い」と。

理解ある仲間に恵まれて、私は幸せ者だ。

他の仲間達にも追々話をしなければならないが、その前に、まずはルレイア卿を保護することが最優先だった。

私は、恐れ知らずにも『青薔薇連合会』本部に突入した。

「ルレイア卿!」

「ちょ、ブロテ…!」

「そんな、いきなり…」

私が突然訪ねてきたことで、『青薔薇連合会』本部は騒然としていた。

しかし、ここで退く訳にはいかない。

ルシェ卿との約束の為にも。

「ルレイア卿を呼んでちょうだい。私は帝国自警団団長、ブロテ・ルリシアスよ!」

堂々と名乗りを上げると。

「…っ!?」

次の瞬間、鋭い発砲音が鳴り響いた。

私の顔のすぐ真横を、拳銃の弾丸がすり抜けた。

思わず身体を硬直させ、私のすぐ後ろをついてきていたユナとセルニアも、同じように凍りついていた。

…あと、数センチでも横にずれていたら。

その弾丸は、私の脳みそをぶちまけていたに違いなかった。

「…ルレイアに何の用なの?」

気がつくと、エントランスの階段の上に。

黒いひらひらとしたワンピースを纏った若い女性が、拳銃の銃口を真っ直ぐにこちらに向けていた。

…あの人が撃ったんだ。あの距離から。

私を威嚇し、脅す為に。

なんて正確な射撃…。

それもそのはず。拳銃を向けてきたその女性に、私は見覚えがあった。

「君…。『青薔薇連合会』の幹部だね」

「…それが何か?」

名前は確か…シュノ・ルヴァーシュだったっけ。

女性だからと甘く見ていたら、痛い目を見るだけでは済まないのは明白。

彼女は敵意剥き出しだったけど、私は戦う為にここまで来た訳じゃない。

まずは、そこのところを分かってもらわないと。

「ちょっと待って、落ち着いて。私は戦う為に来た訳じゃ…」

「知ってるわ。…ルレイアを捕まえに来たんでしょう」

…え?

「帝国自警団まで、もう嗅ぎ付けたのね。…危ないところだった」

危ないところだった、って…。

それって、どういう…。

「ルレイアには手出しさせない。相手が誰であっても、彼を守る為なら私は容赦しないわ」

明確な殺意を宿したその目は、正しくマフィアのそれだった。

思わず、背筋が冷たくなるほどに。

「ちょ…待って。私は、何も…」

確かに私は、ルレイア卿の身柄を求めてここに来た。

だけどそれは、捕まえる為ではない。

あくまで、保護する目的で…。

しかし、ハナから私を敵と決めてかかっているシュノという女性幹部は、聞く耳を持たなかった。

「黙って。ルレイアは、私が守る…!」

引き金にかけた指に、力がこもったその時。

エントランスに続く奥の大きな扉が、派手な音を立てて開いた。