ーーーーー…心底腹の立つ、事情聴取が終わった後。

牢屋にぶち込まれることもなく、俺とルルシーはあっさりと解放された。

当然である。

あくまで任意聴取として連れてこられたのであって、俺が犯人であると確信している訳じゃない。

あるいは、俺が犯人ではないと信じ切っているオルタンスが、便宜を図ったのかもしれないが…。

…そんなことはどうでも良い。

今はただ、ルルシーに隣にいて欲しかった。

そのルルシーは、帝国騎士団から解放されるなり、急いで駆け寄ってきた。

「ルレイア…!大丈夫か?」

その血相を変えた表情から、今やルルシーも、事件のことを聞いたのだろうとすぐ分かった。

「…えぇ。まぁ…正直、あんまり大丈夫ではないですね」

「…!」

正直にそう告げると、ルルシーは目の色を変えた。

「やっぱり、あいつら…!ルレイアに、余計なことを…」

ルルシーは、血が滲むほど両手の拳を強く握り締めた。

あぁ、いえ、そんなに怒らずとも。

今、ルルシーと会ったから…ちょっと、気持ち落ち着いてきましたよ。

凄いですね、ルルシーの鎮静効果。

どんなに良い香りのアロマオイルより、どんなにふかふかの毛布より、ルルシーの顔を見るとホッとする。

「…大丈夫ですよ。今ルルシーの顔を見たので落ち着きました」

「嘘つけ。今大丈夫じゃないって言っただろ」

いや、まぁ、言いましたけど。

「だからって、ここで怒りを爆発させても仕方ないので。とりあえず帰りましょう」

「お前にそんな冷静な言葉をかけられるとは…。いつもとは立場が逆じゃないか」

え?何ですかその言い方。

俺はいつだって冷静沈着ですよ。失礼な。

「…分かった。一緒に『青薔薇連合会』に帰ろう。…帰って、人生ゲームの続きでもしようぜ」

そういえば、来る前にやってましたね。人生ゲーム。

職業ヒーローやってたんだった。

人生ゲームではヒーローなのに、リアルでは殺人事件の容疑者って、何だか皮肉を感じますね。

「えぇ、帰りましょう…。でも、帰る前に…何か飲み物買って帰りましょう」

「は?飲み物?」

「頭使った後だから、何か甘い飲み物、欲しくありません?」

折角、こんな寒い中外に出てきたのに。

このまま帰るなんて、ただただ徒労なだけじゃないですか。

それは癪なので、飲み物でも飲みながら、ルルシーとイチャイチャしながら帰りたい。

あとはまぁ…気持ちを落ち着ける為にね。

「…分かった。良いよ」

そこのところ、ルルシーも察してくれたようだった。

ありがとうございます。