The previous night of the world revolution8~F.D.~

個人的には焦らしプレイって大好きなんですけど。

これ以上ルルシーを焦らしてたら、さすがに怒られそう。

なので。

「はいはい。何でも聞いてください。歩きながらで良ければ、何でも話しますよ」

「そうだ。最初からそう言え。…で、『ローズ・ブルーダイヤ』はどうなった?カミーリア家の宝物庫に戻したのか?」

「いいえ」

「…!」 

ルルシーは、フラッペのストローから口を離して、驚いた顔でこちらを向いた。

その顔。とっても好き。

「…冗談だよな?」

「こんな下らない冗談は言いませんよ」

「じゃあ…どういうことだ?ダイヤをもとの場所に戻すのが、お前の目的だったはずだろう?」

それは分かってますよ。えぇ、百も承知です。

俺だって、その為に色々な危険を犯して、カミーリア家の宝物庫に忍び込んだのだ。

「それなのに…戻さなかったのか?どうして?それじゃ、『ローズ・ブルーダイヤ』は今何処に、」

「これですよ」

「は?」

俺は、ポケットに入れていた「それ」を、ルルシーの前に掲げて見せた。

手のひら大の、青く煌めく石を。

うん。外で見ると、太陽の光にキラキラと反射して、一層綺麗に見えますね。

「そ、それ…もしかして…それが『ローズ・ブルーダイヤ』…!?」

「そうです」

「ちょ、ばっ…!人前でそんなもの見せるな!隠せ!」

ルルシーは慌てて手を伸ばして、周囲をきょろきょろ見渡しながら俺の身体を隠した。

幸い、忙しなく街を歩く人々の中に、俺とルルシーの会話に耳を貸す者はいない。

俺の手にある青い煌めきにも気づかず、平然と通り過ぎていった。

まさか、自分のすぐ近くに、値段もつけられない貴重な宝石があるなんて、思ってもみないだろうな。

「そんなものを表に出すんじゃない!」

「だから、『青薔薇連合会』に戻ってから話したかったんですよ。それなのにルルシーが、歩きながら話せって言うから…」

「…悪かったよ」

はい。

俺は、ポケットにダイヤを戻した。

「…でも、何でそれがここにあるんだ?宝物庫に戻さなかったのか…!?」

「あぁ、はい。それなんですけどね…。戻す必要はなかったんです」

「え…?」

俺自身、昨晩宝物庫に入って、初めて分かったのだ。

俺は、更にコートのポケットの中を探った。

そこから、小さな宝石箱を取り出した。

「ルルシー、これ何だと思います?」

「え…?それって…『ローズ・ブルーダイヤ』を入れたジュエリーボックス…だろ?からくり箱になってるっていう…」

そう、それです。

「その通り。ジュリスさんから託されたジュエリーボックスです」

「何でお前…それを、まだ持ってるんだ?」

「つかぬことを聞きますね。ルルシー、この宝石箱、開け方を知ってます?」

「…知る訳ないだろ?当主しか開け方を知らなくて…一度でも開け方を間違えたら、二度と開かなくなるって…」

その通り。そう言われてましたね。

そして実際、『ローズ・ブルーダイヤ』のジュエリーボックスは、果てしなく複雑な手順を踏まなければ、開けることは出来なかった。

大したからくり箱だと思いますよ。

…それが本物のからくり箱なら、の話ですが。