「裏社会のツテで、その盗まれたダイヤが『青薔薇連合会』に流れてきましてね…。これが発覚したら、『青薔薇連合会』は大きな罪に問われることになる」
「そんな…。盗まれたって…。…どうやって…?」
…さぁね。そこまで教えてあげる義理はありません。
精々自分で考えてください。
それに、大事なのは盗んだ方法ではない。
「盗難がバレて問題になる前に、なんとしてもカミーリア家に潜り込み、『ローズ・ブルーダイヤ』をもとの場所に戻す必要があった」
「…!だから…なの?だからこの家に…マリーフィアに近づいて…」
「その通りですよ。…分かってるじゃないですか」
そんな理由でもない限り、貴族の家になんか来るはずないじゃないですか。
今の俺は、言うまでもなく作り笑いを消していた。
偽りのルナニア・ファーシュバルではなく。
『青薔薇連合会』幹部、ルレイア・ティシェリーに戻っていた。
あぁ。本来の自分に戻るというのは、なんと気分の良いことだろう。
「今、その目的は達しました。…だから、もうこの家は用済みです」
「そんな…嘘でしょ…?嘘…。じゃあ…私に…家族だって言ってくれたのも…」
…そんな、泣きそうな顔しないでくださいよ。
まるで俺がいじめたみたいじゃないですか。
「マリーフィアは楽でしたけど、あなたは厄介でしたよ」
最初に会った時から、メリーディアだけが俺にとっては警戒対象だった。
疑うことを知らないマリーフィアと違って、この女は最初から、俺の魂胆を見抜いていた。
「あなたの警戒を解き、信頼させるにはひと芝居もふた芝居も必要で…苦労させられました」
「…」
「そんな顔しないでくださいよ。…俺個人としては、これでも一応あなたに同情してるんですよ」
俺は、涙を滲ませたメリーディアのまなじりを、そっと指で拭った。
「貴族として生まれながら、自分の居場所を見つけられない…。まるで昔の自分のようでね」
マリーフィアなんかより、ずっとメリーディアの方に好感を抱いていた。
それは紛れもない事実である。
「あなたがカミーリア家の娘ではなく、俺が『青薔薇連合会』の幹部でなかったら…あなたとお友達になれた未来も…いえ、あなたと本当に、家族になる未来もあったかもしれませんね」
「そんなの…そんなこと、今…言われたって…」
メリーディアは目にいっぱいの涙を浮かべ、裏切られた悲しみで顔を覆った。
…お気の毒。
でも、あなたは決して信じてはいけない人を信じてしまった。
それだけの話です。
「俺のことはもう忘れてください。一夜の夢のようなものだと…」
「忘れられる訳…ないじゃない…」
そうですか。
忘れられないなら、辛くても、一生覚えているしかないですね。
「じゃああなたが覚えていてください。俺は忘れます。ここにいたこと、あなたと家族だったことも…。俺の代わりに、あなたが覚えていてください」
あなたが忘れない限り、俺がこの家にいたという事実が残り続けるでしょう。
「…さようなら。メリーディアさん」
俺は、そのまま手を振って立ち去った。
失意のあまり、その場に崩れ落ちたメリーディアのすすり泣く声が聞こえてきたが。
それでも、俺は振り返らなかった。
「そんな…。盗まれたって…。…どうやって…?」
…さぁね。そこまで教えてあげる義理はありません。
精々自分で考えてください。
それに、大事なのは盗んだ方法ではない。
「盗難がバレて問題になる前に、なんとしてもカミーリア家に潜り込み、『ローズ・ブルーダイヤ』をもとの場所に戻す必要があった」
「…!だから…なの?だからこの家に…マリーフィアに近づいて…」
「その通りですよ。…分かってるじゃないですか」
そんな理由でもない限り、貴族の家になんか来るはずないじゃないですか。
今の俺は、言うまでもなく作り笑いを消していた。
偽りのルナニア・ファーシュバルではなく。
『青薔薇連合会』幹部、ルレイア・ティシェリーに戻っていた。
あぁ。本来の自分に戻るというのは、なんと気分の良いことだろう。
「今、その目的は達しました。…だから、もうこの家は用済みです」
「そんな…嘘でしょ…?嘘…。じゃあ…私に…家族だって言ってくれたのも…」
…そんな、泣きそうな顔しないでくださいよ。
まるで俺がいじめたみたいじゃないですか。
「マリーフィアは楽でしたけど、あなたは厄介でしたよ」
最初に会った時から、メリーディアだけが俺にとっては警戒対象だった。
疑うことを知らないマリーフィアと違って、この女は最初から、俺の魂胆を見抜いていた。
「あなたの警戒を解き、信頼させるにはひと芝居もふた芝居も必要で…苦労させられました」
「…」
「そんな顔しないでくださいよ。…俺個人としては、これでも一応あなたに同情してるんですよ」
俺は、涙を滲ませたメリーディアのまなじりを、そっと指で拭った。
「貴族として生まれながら、自分の居場所を見つけられない…。まるで昔の自分のようでね」
マリーフィアなんかより、ずっとメリーディアの方に好感を抱いていた。
それは紛れもない事実である。
「あなたがカミーリア家の娘ではなく、俺が『青薔薇連合会』の幹部でなかったら…あなたとお友達になれた未来も…いえ、あなたと本当に、家族になる未来もあったかもしれませんね」
「そんなの…そんなこと、今…言われたって…」
メリーディアは目にいっぱいの涙を浮かべ、裏切られた悲しみで顔を覆った。
…お気の毒。
でも、あなたは決して信じてはいけない人を信じてしまった。
それだけの話です。
「俺のことはもう忘れてください。一夜の夢のようなものだと…」
「忘れられる訳…ないじゃない…」
そうですか。
忘れられないなら、辛くても、一生覚えているしかないですね。
「じゃああなたが覚えていてください。俺は忘れます。ここにいたこと、あなたと家族だったことも…。俺の代わりに、あなたが覚えていてください」
あなたが忘れない限り、俺がこの家にいたという事実が残り続けるでしょう。
「…さようなら。メリーディアさん」
俺は、そのまま手を振って立ち去った。
失意のあまり、その場に崩れ落ちたメリーディアのすすり泣く声が聞こえてきたが。
それでも、俺は振り返らなかった。


