The previous night of the world revolution8~F.D.~

本当は、もう少し時間をかけてじっくり探すつもりだったんですけどね。

マリーフィアを口説いて、言葉巧みに誘導し、自ら手引き書を持ってくるよう仕向ける。

これが一番確実で、俺にとっては簡単な手段だった。

これまで、取引先のマダムやお嬢様相手に、何度もやって来たことですから。

ベッドでメロメロにさせて、理性を失わせたところを狙って、極秘の顧客リストを見せてもらったりね。

今まで、それで何度も仕事をしてきたのだが…。

…今回は、それをする時間がなかった。

さすがに、一晩で手引き書を自ら出させるまでに洗脳するのは難しいですからね。

ましてや、マリーフィアはまだまだ処女気分が抜けきっていない小娘。

今回は身体で分からせるより、強硬手段に出た方が良いと判断。

マリーフィアがぐっすり寝ている間に、部屋の中を徹底的に探す。

…え?たった一晩で見つかるのかって?

そこは、俺の腕の見せどころですよ。

それに、このマリーフィアの性格を鑑みるに…それほど難航する作業ではないと思う。

まず手始めに、無駄に広いウォークインクローゼットをオープン。

そこには、溢れんばかりの服が収納されていた。

一目見ただけで辟易する。

一枚二枚どころか、三十枚くらい一気になくなったとしても、全然気づかなさそう。

買っただけで全然着てない服もたくさんあって、ウォークインクローゼットの床に、無造作に新品の紙袋がいくつも置いてある。

更に、服だけじゃなくて、カバンや靴や装飾品も盛り沢山。

ブティックでも開くつもりか。

しかも、そのどれもがピンク色ばっかり。

さすがの少女趣味である。

黒大好きで、黒以外の服は認めない主義の俺にとっては、気分が悪くなる光景である。

うぇ。

これ以上見ていられなくなって、俺はぱたん、とウォークインクローゼットを閉じた。

今のは見なかったことにしよう。うん、

違うところを探そっと。

次は本棚。

クローゼットにはあれだけ大量の服が、ぎっちりと詰め込まれていたというのに。

本棚はスカスカで、ろくに物が入ってない。

入っているとしても、香水とかコスメグッズとか、およそ本棚に入れるべきものではないものばかり。

あいつ、本棚をただの引き出し感覚で使ってやがる。

たまに、思い出したかのように本も何冊が入っていたけど。

ファッション系の雑誌類だったり、旅行のガイドブックだったり。

隅っこの方に、かろうじて大学で購入したであろうテキストが何冊か入っていたが。

それらはすっかり埃を被っていて、全く読まれていないことが伺える。

これが大学生の本棚か?情けない。

だが、お陰で捜し物はしやすい。

一通り本棚を探ったが、大学ノートは一冊も見つからなかった。

よし、それなら次。

本棚と同じくらい、全く使われていないワークデスクだ。