The previous night of the world revolution8~F.D.~

「ふにゃぁぁ!くしゅぐった、るーひぇすく、ふにゃあははは!」

くすぐられながら、何故か楽しそうなルーチェス嫁。

しかし、これが茶番であると気づかない女性帝国騎士は。

「くっ…!この変態め…!」

…うん。俺もそう思う。

「こうなったら、力ずくでも助け…、」 

ルーチェスのあまりの変態ぶりに、痺れを切らした女性帝国騎士が。

ルーチェスに駆け寄って、人質のルーチェス嫁を救出しようとした。

その時。

突然、窓ガラスが割れる音がしたかと思うと。

「えっ…」

「あぁっ…」

ルーチェスに駆け寄ろうとしていた女性帝国騎士二人が、その場にぐらりと倒れた。

外から狙撃されたのである。

女性帝国騎士二人は、倒れながら、撃たれた方向を見つめたが。

一言も発することは出来ず、そのまま白目を剥いて気を失った。

…あっという間の出来事だったな。

この二人は、恐らく自分が誰に撃たれたのか、何を撃ち込まれたのか理解する前に、意識を失ったことだろう。

これには俺もびっくりしたが、俺以上にびっくりしていたのは。

「えっ?あれっ?二人共倒れちゃったよ?大丈夫なの!?」

人質役として、ルーチェスにくすぐられていたルーチェス嫁である。

俺は、もう誰の仕業か理解しているけど。

初めて見るルーチェス嫁にとっては、驚き以外の何物でもないだろうな。

「心配要りませんよ、セカイさん。スナイパーに狙撃されただけです」

と、ルーチェスが説明した。

…やっぱりな。

動いている標的を、ここまで正確に狙撃出来るスナイパーを、俺は一人しか知らない。

「えっ、スナイパー?なんか格好良い!その人もルーチェス君の仲間なの?」

「はい。アリューシャさんっていう天才スナイパーです。ポテトチップス一袋渡したら、快く協力してくれました」

「そうなんだ、すごーい!」

…あいつ、ポテチ一袋で買収されてんの?

仮にも『青薔薇連合会』の幹部が、ポテチで買収されんな。

ルーチェスが人質犯を、そしてルーチェス嫁が人質役を演じ。

帝国騎士達を脅し、戸惑っているところを、アリューシャが狙撃する。

勿論、弾は実弾ではなく、ただの麻酔弾である。

即効性で、効果は覿面だが、一時間もすると効果が切れて目を覚ます。という、『青薔薇連合会』でもよく使われている麻酔弾だ。

今頃、ポテチをもらって気を良くしたアリューシャが、鼻歌交じりにライフルのスコープを覗いてると思うと。

間抜けなような、微笑ましいような、複雑な気持ちにさせられる。