The previous night of the world revolution8~F.D.~

「…ルリシヤ…お前…」

「ふふふ。上手く引っ掛かってくれて感謝する」

ルリシヤは、仮面越しに超ドヤ顔。

血みどろのはずなのに、ケロッと突っ立っている。

それもそのはず。

「凄いですね、ルリシヤ。本当の血みたいです」

「そうだろう?俺の自信作なんだ」

ルレイアは、血まみれのルリシヤを賞賛した。

血まみれのはずなのに、何故、ルレイアもルリシヤも、余裕の表情でケロリとしているのか。

その答えは簡単である。

血のように見えるコレ、全部ただの血糊である。

本物の血じゃないってことな。

ルリシヤはこの通り、無傷で元気だよ。

以前もルリシヤは、怪我をしたように見せかけて、ケチャップを血糊代わりに使っていたが。

今回のこれは、ケチャップではない。

それでいて、色だけじゃなくて、匂いまで妙に生臭くて、まるで本物の血のようだ。

凄いリアリティなんだけど…。…これ、本当に血じゃないんだよな…?

「いやぁ、迫真の演技でしたね。ルリシヤじゃなかったら、危うく俺も騙されてしまうところでしたよ」

「ふっ。お褒めに預かり光栄だな」

俺なんて、ルリシヤだって分かってても騙されそうになったよ。

…って、それはまぁ良いんだけどさ。

「…何でお前、仮面つけたまんまなんだ?」

「これは俺のアイデンティティだからな。いついかなる時でも、外すことは出来ないんだ」

「あ、そう…」

そんなドヤ顔で言われてしまったら、俺としてはもう何も言えない。

…さっきルリシヤのスタンガンでやられたあの帝国騎士達も、もうちょっと冷静だったらなぁ。

ルリシヤの仮面を見て、仮面を被った帝国騎士なんているはずない、って気づいただろうに。

そういう冷静さを養う訓練だと思えば…と、前向きに考えたが。

仮面云々を抜きにしても、その超リアルな血糊を全身にべったりつけて、迫真の苦しんでる演技をされたら。

誰だって、ビビって逃げるか、あるいはさっきの帝国騎士みたいに、慌てて駆け寄ってくるのが普通だよな…。

「さて、それじゃこの調子で、どんどん帝国騎士達に電気ショックを与えてくるとしよう」

「はい、頑張ってくださいね。ルリシヤ。行ってらっしゃい」

「あぁ、行ってくる」

血糊にまみれた手で、グッ、と親指を立てるルリシヤ。

すると、そこに。

「今、こっちから音がしなかったか?」

「誰かそこにいるのか!?」

騒ぎを聞きつけた、別の帝国騎士達が駆け寄ってくる声と足音が聞こえてきた。

「おっと。新たなカモが来たぞ。早速行ってくるとしよう」

ルリシヤは、また新たな血糊を胸元辺りにべしゃっ、とつけた。

そして胸を押さえ、いかにも苦しそうな声を出して、駆け寄ってきた帝国騎士達の前に飛び出していった。

…あーあ…。またルリシヤに騙される人が…。

「ルリシヤは大丈夫そうですね。俺達も、別の場所に行ってみましょうか」

「そうだな…」

…恐ろしいのは、脅威はまだまだ終わっていないという点である。