The previous night of the world revolution8~F.D.~

それからも、子供達は各々の意見を述べていた。

帝国騎士に必要な素養を話し合い、その上で、ルティス帝国をより良くする為にどうしたら良いか、まで議論が発展していた。

子供らしい、突飛で無鉄砲な意見が次々と。

曰く、「帝国騎士はボランティア活動を義務化したらどうか」とか。

曰く、「帝国騎士は国の代表なので、無給で働くべきじゃないか」とか。

曰く、「帝国騎士になる人には、難しい国家試験を課すべきじゃないか」とか。

曰く、「帝国騎士は全ての国民の為に、自分の命を犠牲にする覚悟じゃないといけない」とか…。

…子供の言うことだから、ある程度は半笑いで聞き流さなきゃいけないんだろうが。

あまりに自由過ぎて、好き勝手なことばっかり言われ過ぎて、段々頭痛くなってきた。

理想を語るのは自由とは言ったが、無茶苦茶なことまで言って良いとは言ってないぞ。

これには、段々ルーシッドも真顔になっていった。

「俺、国民の為に無給で命を捧げなきゃいけないのか…」みたいな顔してる。

…そうらしいぞ。このガキ共曰く。

ルレイアが聞いてたら、大喜びで手を叩いてただろうな…。

ボーッとそんなことを考えつつ。

なんか、これ以上聞いてるのが苦痛になってきて。

「…ルーシッド、あと頼む」

「えっ…」

この場をルーシッドに託し、会議室から逃亡。

…え?後輩を置いて一人で逃げるのか、って?

悪いな。俺、正義感も優しさも勇気も常識もない帝国騎士だから。

綺麗事だけじゃ、世の中渡っていけないんだよ。

「はぁ…」

会議室から出るなり、俺は大きな溜め息をついた。

ここは、しばらくルーシッドに任せておくとして…。

よその様子を見に行、

「大きな溜め息だな。アドルファス」

「あ?」

背後から、声をかけられたと思ったら。

振り向くと、そこに通りすがりのオルタンスがいた。

その姿を見て、俺は思わず噴き出しそうになった。

危ないところだった。

「な…なんて格好してんだよ?お前…」

「え?何が?」

「鏡を見て、自分の今の姿を確認したらどうだ?」

オルタンスは、いつも通りの帝国騎士団の制服を着ていた。

いつもと違うのは、制服の色である。

真っ白のはずの制服は、真っ黒に染まっていた。

一瞬、ルレイアがいるのかと思ったじゃないか。

「アドルファスこそ、何でそんな格好をしてるんだ?」

「は?」

「朝起きたら、部屋の前にこの制服一式が置いてあったから、今日は全員この制服を着用するものと思ったんだが」

…そういや、俺の部屋の前にも置いてあったよ。

何処の黒いサンタが置いていったんだろうと思ってたが。

こんな企画外れの制服、冗談じゃないと思って、俺は着なかったが。

オルタンスは、馬鹿正直に着ることにしたらしい。

「どうだ。似合うだろう?」

…何でドヤ顔?

「…はいはい…。そうだな…」

そういやお前、以前も帝国騎士団の制服を勝手に黒くして着てたな。

思考がルレイアに侵されてるのかもしれない。

…あぁ、もう良い気にするな。オルタンスの奇行はいつものことだ。

いちいち気にしてたら、こっちの身が持たない。