The previous night of the world revolution8~F.D.~

更に、売れ行き好調なのは、このふざけたコスチュームだけではなかった。

「お前、どれ当たった?」

「うわー、俺三つ共『シルバーブラック』だ」

「マジかよ。俺は…『ゴールドブラック』と、こっちは…『レッドブラックだ』」

「良いなー。一個交換してくれよ」

大学生風の若者三人が、黒い缶バッジを手にわちゃわちゃ。

…あれって…。

「ほほう。見たところ…記念イベント公式グッズの缶バッジだな」

般若のお面をつけたルリシヤが言った。

…どうでも良いけど、お前それ…お面つけたまま見えてんの? 

シルバーとかレッドとかいうのはどういう意味なんだろう、と思ったら。

よくよく彼らの手元を、まじまじと見てみると。

缶バッジは、それぞれ銀色のビニール袋に包まれており、中身が見えないようになっている。

あ、あれって…。

「どうやら、中身はランダムなようだな」

「あぁ…。オタグッズとかアイドルグッズでよくあるアレか…」

全何種類かの中から、ランダムでどれか一個が出てくるという…。

あの悪名高い商法。

ああいうのってさ、なかなか自分の推しが来なくて歯痒いよな。

何十個も買ったのに、大して好きでもないキャラのデザインばっか被って。

図ったかのように、自分の推しだけ絶対出ないの。

あの時の切なさよ。

「あ、本当だ。ルルシー、見て。パンフレットに載ってるわ」

「お、おぉ…」

シュノが、無料配布されたパンフレットの1ページを指差した。

会場で販売されている、公式グッズの紹介ページである。

缶バッジは全7種類。

それぞれ、シルバーブラック、ゴールドブラック、レッドブラックにブルーブラック、パープルブラック、グリーンブラックとイエローブラック…。

更に、シークレットデザインがあるらしい。

「…ふーん…」

…このデザイン、考えたのが誰かすぐに分かる。

『frontier』のグッズも同じような売り方してたな…。

「え、お前『パープル・ブラック』当たったの?それ交換してくれ」

「ちょ、駄目だって。俺だってこれ、一個しか当たらなかったんだから」

「くっそ!俺、『レッド・ブラック』欲しかった…!」

悔しそうな声が聞こえてくる。

…パープルと…レッド?

「…人気のカラーなのかね?」

「恐らく、これが原因だと思うぞ」

と言って、ルリシヤは自分のスマホを見せてくれた。

画面には、『frontier』のメンバー、ルトリアのTwittersのツイートが。

バッグに『レッド・ブラック』デザインの缶バッジをつけて、ピースサインしている写真が掲載されている。

…成程、これか。

更に、そのルトリアの隣には、『frontier』唯一の女性メンバー、ベアトリーシュが写っていて。

彼女は、『パープル・ブラック』の缶バッジをつけていた。

他のメンバー、ルクシーやエルーシアも、それぞれブルーやグリーンの缶バッジをつけている。

グッズPRに『frontier』を使うとは…。ルレイアの奴、コスいことを考えたものだ。