The previous night of the world revolution8~F.D.~

ちょっと。何で止めるんですかルルシー。

「どうかしましたか?」

「どうかしましたか、はこっちの台詞だ。仲良くなりたい云々言った後に、何をやろうとしてるんだ?」

えっ?

何って、そんなの…。

「お茶を淹れようとしてただけじゃないですか」

「お茶を淹れるのに、何でデスソースが必要なんだ?そこに緑茶のティーバックがあるだろ」

と、ルルシーは給湯室に備え付けの、箱入りの緑茶のティーバックを指差した。

ちっちっち…甘いですね、ルルシー。

お茶を淹れる、とは言いましたが。誰が緑茶を淹れると言いましたか?

「ただの緑茶を淹れるようじゃ、素人の新入社員ですよ」

「素人じゃねーよ。全国の新入社員の皆さんに謝れ」

ちょっとルルシー。マジレスやめてください。

「お近づきの印に、ルレイアブレンドの特別なお茶を淹れてあげようと思いまして」

「…ルレイアブレンド…?」

俺はこくりと頷いた。

「煮え立ったお湯の中に、デスソースを大さじ5杯、シュールストレミングのぺーストを大さじ3杯、そこにくさやと納豆とキビヤックと…」

「うぉぇぇぇ…」

「ルリシヤ特製、激臭シロップを隠し味に大さじ5杯」

「大さじ5杯は隠し味の域を超えてるだろ…」

「ついでに、その辺のゴミ箱から拾ったちり紙をトッピングして、完成です」

どうですか。これがルレイアブレンドティーです。

いやはや。隊長達はきっと、感激の涙を流しながら飲んでくれるはずですよ。

何ならおかわりも作ってあげますよ。何杯でもどうぞ。

残さず飲んでくださいね。

「そんな訳で、まずはデスソースから」

「ちょっと待て。やめろって」

デスソースの小瓶を開けようとしたら、再びルルシーに止められた。

「仲良くなるどころか、殺しにかかってるだろうが。やめろ」

「え、駄目なんですか?」

「駄目に決まってるだろうが。緑茶にしろ」

「あぁっ…」

ルルシーは強引に、緑茶のティーバックをお湯の中に放り込んだ。

ルルシー、なんてことを。ルレイアブレンドティーを作ろうと思ってたのに。

何の面白みもない味に。

「ったく、珍しくまともなことを言ってると思ったらこれだ…」

ぷりぷり怒っているルルシー。

珍しくって何ですか。俺はいつだってまともじゃないですか。

「もー…。分かりましたよ」

ルルシーがそこまで言うなら、大人しく引き下がりますよ。

…ただ、ちょっとくらいのお茶目要素は許されますよね?

「…ルルシーが油断してる隙に、そっと隠し味を…」

「あ、こらっ!何入れたんだ」

大丈夫ですよ。これは。

「ただの粉末青汁です」

お湯に入れたら溶けるタイプのアレです。

「これも優しさですよ。ご多忙な身で、つい食生活が乱れがちな隊長の皆さんに、日頃不足しがちな栄養を補給して欲しいという…」

「嘘つけ。ただの嫌がらせだろ」

ぎくっ。

聞こえませんね。えぇ、俺には何も聞こえません。

「大丈夫ですよ。ただめちゃくちゃ苦いというだけで、身体に悪いものは何も入ってませんから」

むしろ薬ですよ。良薬口に苦しです。

きっと感激して飲んでくれること間違いなし。

「ったくお前は…。お茶の一杯もまともに淹れられないのかよ」

ルルシーがぶつぶつ呟いているけど。

それも聞こえなかったということで。