――――――…帝国騎士団の連中を、ジリジリとたっぷり待たせ。
俺とルレイアが帝国騎士団隊舎の入り口に辿り着いたのは、既に午前から午後に変わっていた。
…ルレイアに付き合わされるままに、朝っぱらから『ブラック・カフェ』に寄って。
おまけに、デザート代わりのスムージーまで飲んできたけど。
入社初日から重役出勤って、やっぱり不味いんじゃないのか?
午前じゃないんだぞ、もう。午後だぞ。
何時間遅刻してんだよ。
それなのに、ルレイアは余裕の表情で。
「いやぁ、ルルシー。社長ですね、俺達」
「…笑い事じゃないだろ…」
社長じゃないんだぞ。俺達、新入社員なんだぞ。
「どうするんだ?初日から遅刻するなんて言語道断だ、って処罰を受けたら…」
有り得なくはないだろう。元々帝国騎士団は、規律に厳しい組織なんだから…。
しかし、ルレイアはそんな俺の心配を軽く一笑に付した。
「その時は、むしろ俺がそいつに『処罰』を下してやりますよ」
「…」
…怖っ。
とんだ反抗児だな…。今に始まったことじゃないが…。
むしろ、ルレイアがこれほど余裕綽々な態度であることを喜ぶべきか。
ルレイアにとっては、因縁の、忌まわしい帝国騎士団だ。
険しい顔をして緊張しているようだったら、俺は誰が何と言おうと、ルレイアをここには連れてこなかっただろう。
こいつは、無理してる時に、それを隠すのが上手いからな。
ルレイアの表情に変化がないか、俺がしっかり見張っておかなくては…。
「こんにちはー。ルレイアですよー」
思いっきり遅刻しまくってるのに、ルレイアは堂々と、全く悪びれることなく出勤。
ふざけた態度である。
しかも、俺まで同じように、そのふざけた新入社員の片棒を担いでいるのだ。
…ないとは思うけど、もし罰を受けるなら、俺も一緒に受けるよ。
すると。
突然、ぱーんっ!という鋭く乾いた発砲音のようなものが響いた。
「ルレイアっ…!」
何処からか狙撃でもされたのかと、咄嗟にルレイアの前に出て庇ったが。
その心配は不要だった。
「お帰り、ルレイア。それにルルシーも」
そこには、クラッカーを構えたオルタンスの姿があった。
は、はぁ…?
はらはらと、クラッカーの中身が宙を舞っていた。
…普段、ルリシヤが自作した、手の込んだ香り付きのクラッカーばかりを見慣れているから。
市販されている普通のクラッカーを見ると、妙に地味だと感じてしまうな。
…なんて、感心してる場合かよ。
俺とルレイアが帝国騎士団隊舎の入り口に辿り着いたのは、既に午前から午後に変わっていた。
…ルレイアに付き合わされるままに、朝っぱらから『ブラック・カフェ』に寄って。
おまけに、デザート代わりのスムージーまで飲んできたけど。
入社初日から重役出勤って、やっぱり不味いんじゃないのか?
午前じゃないんだぞ、もう。午後だぞ。
何時間遅刻してんだよ。
それなのに、ルレイアは余裕の表情で。
「いやぁ、ルルシー。社長ですね、俺達」
「…笑い事じゃないだろ…」
社長じゃないんだぞ。俺達、新入社員なんだぞ。
「どうするんだ?初日から遅刻するなんて言語道断だ、って処罰を受けたら…」
有り得なくはないだろう。元々帝国騎士団は、規律に厳しい組織なんだから…。
しかし、ルレイアはそんな俺の心配を軽く一笑に付した。
「その時は、むしろ俺がそいつに『処罰』を下してやりますよ」
「…」
…怖っ。
とんだ反抗児だな…。今に始まったことじゃないが…。
むしろ、ルレイアがこれほど余裕綽々な態度であることを喜ぶべきか。
ルレイアにとっては、因縁の、忌まわしい帝国騎士団だ。
険しい顔をして緊張しているようだったら、俺は誰が何と言おうと、ルレイアをここには連れてこなかっただろう。
こいつは、無理してる時に、それを隠すのが上手いからな。
ルレイアの表情に変化がないか、俺がしっかり見張っておかなくては…。
「こんにちはー。ルレイアですよー」
思いっきり遅刻しまくってるのに、ルレイアは堂々と、全く悪びれることなく出勤。
ふざけた態度である。
しかも、俺まで同じように、そのふざけた新入社員の片棒を担いでいるのだ。
…ないとは思うけど、もし罰を受けるなら、俺も一緒に受けるよ。
すると。
突然、ぱーんっ!という鋭く乾いた発砲音のようなものが響いた。
「ルレイアっ…!」
何処からか狙撃でもされたのかと、咄嗟にルレイアの前に出て庇ったが。
その心配は不要だった。
「お帰り、ルレイア。それにルルシーも」
そこには、クラッカーを構えたオルタンスの姿があった。
は、はぁ…?
はらはらと、クラッカーの中身が宙を舞っていた。
…普段、ルリシヤが自作した、手の込んだ香り付きのクラッカーばかりを見慣れているから。
市販されている普通のクラッカーを見ると、妙に地味だと感じてしまうな。
…なんて、感心してる場合かよ。


