The previous night of the world revolution8~F.D.~

ルルシーとカラオケルームでデートし、その夜にマリーフィアと結ばれ。

本当の意味で夫婦となったその日から、数週間が過ぎ。

月が変わったその日、俺はカミーリア家の自室で、懐かしい衣装に袖を通していた。

…まさか、またこの制服を着る日が来るとは。

帝国騎士団の、不気味な白い制服を。

「…」

こうして真新しい制服を着ると、嫌でも思い出してしまう。

もう何年も前。地獄のような帝国騎士官学校を卒業し、人生で初めてこの制服に袖を通した、あの日のことを。

今着ている制服は、あの時と全く変わっていない。

だけど、同じ制服を着ているというのに、その服を着ている俺は、あの時とは全く変わってしまった。

まるで違う生き物になってしまった、と言っても良い。

あの頃の俺には、まだ未来に対する希望があった。

正しい者は救われ、傷はいつか癒えると信じていた。

…いや、信じていたと言うのは語弊があるな。

信じたかったのだ。この世には、まだ正義があると。

思わず、苦笑せずにいられない。

…我ながら、青い時期があったものですね。

そういや、あの頃はまだ童貞でしたからね。

信じられます?この俺にも、ルアリスみたいな童貞だった頃があるんですよ。

もう、遠い昔の話のように感じるな。

かつて期待と希望に満ちていたはずの、真っ白な制服は。

今では嫌悪と欺瞞の象徴でしかなく、今すぐこの白い制服を、真っ黒に染めたくなる。

「…改めて見ると、ダサい制服だなぁ…」

大昔から全然変わってないデザインらしいですよ。この制服。

伝統ある(笑)制服らしいですけど。

ルティス帝国のファッションリーダーたる俺にしてみれば、型式張った、時代遅れとしか言い様がない。

こんなダサい格好、申し訳なくて、ルレイア・ハーレムの会員の皆さんには見せられませんよ。

アクセサリーだって、華美なものは着用禁止。

精々シンプルな指輪だけとか、ワンポイントのネックレスだけとか、それくらいしか駄目なんだそう。

ピアスは禁止だし、髪飾りもブレスレットも禁止。

香水だって、いつものオリエンタルな香りはつけられない。

仕方なく、シトラス系のコロンを吹き付けてみた。

全然テンションが上がりませんね。はー、憂鬱な気分。

…すると、そこに拍車をかけるように。

「ルナニアさん。起きてらっしゃいます?」

「あ、マリーフィアさん…。おはようございます」

「おはようございますわ…。あら?その格好…」

今では名実共に、正式に夫婦として結ばれたマリーフィアが、俺の部屋にやって来た。

帝国騎士団の制服を着た俺を、マリーフィアはぽかんとして見つめていた。