The previous night of the world revolution8~F.D.~

「…?ルレイア?」

「今言っただろ。ルレイアがどうのって…」

「そんなこと言ったか?」

いや、言ってただろ。

何だよ。何事もなかったフリして誤魔化すつもりなのか?

それともアレか。お前の願望が思わず口に出ただけ?

顔がいつもと変わらない真顔だから、冗談なのか本気なのか全然分からない。

「えぇっと…。じゃあ俺達の聞き間違いってことですか…?」

「そうだな。俺は何も変なことは…あ」

あ?

「来月からルレイアが帝国騎士団に戻ってくるらしい、とは言ったぞ。頭の隅に止めておいてくれ」

「…」

絶句。

…やっぱり聞き間違いじゃないじゃないかよ。お前。

「以上。今日の会議は終了だ。特に大きな議題もなく、平和に話し合いが済んで良かっ、」

「ちょっと待て。ちょっと待てお前、こら!」

「どうしたアドルファス。大きな声を出して」

何が「大きな議題もなく平和に」だ。

最後の最後で、今年一番ってくらい超特大級の爆弾が爆発したよ。

どういうことなんだ、これは一体。

「お前今、なんて言った?ルレイアが帝国騎士団に戻るって言ったか?」

「あぁ、言ったな」

「どういうことだよ…!?」

俺だけじゃなくて、他の隊長達も愕然としていた。

当然だが、特にルシェが。

「言葉通りの意味だ。ルレイアが戻ってくることになった」

「…それは何だ。ルレイアが遊びに来てくれる、ってことか?」

お前、よく言ってるもんな。

『青薔薇連合会』の幹部連中が攻め込んできても、「ルレイアが遊びに来てくれた」ってわくわくしてる有り様だから。

何らかの事情があって、またルレイアが訪ねてくるのかと思ったが。

「いや、遊びに来るんじゃない。ルレイアが戻ってきてくれるんだ」

「…帝国騎士に、ってことか?」

「そうだ。ルレイアを帝国騎士に戻してくれと頼まれてな。二つ返事で了承した」

「…」

…ごめん。

ちょっと、あまりに情報過多で、脳みその処理が追いつかない。

「ルレイアが…?帝国騎士に…?」

ルシェも呆然としている。

…間違いない。オルタンスだけが知っている何かがあるんだ。

「おい、オルタンス…。事情を詳しく説明してもらおうか」

「え?もう会議も終わったから、部屋に帰って『frontier』のMVを視聴しようと、」

「良いから説明しろ」

勝手に会議を終わらせようとするな。むしろ、今始まったまである。

さっきまでのは全部前座。

「…まさか…カミーリア家の当主が、ルレイアに何か…」

と、ルシェが気になることを口にした。

「よく分かったな、ルシェ。その通りだ」

「…!やはり…」

こくりと頷くオルタンスと、目を見開くルシェ。

…おい、どういうことだよ。二人だけで納得してんじゃねぇ。