俺の心の中は、軽く修羅場に近い状態だったが。

「まぁ…。さすがお母様、素晴らしいですわ」

自分の母親がやったことに、目をキラキラさせて感激するマリーフィア。

…こいつ、俺の気も知らず。

何が素晴らしいって?

娘にまで絶賛されて、加速するユリーフィア母のドヤ顔。

…これ、テーブルの上にある熱々の紅茶のポット、そのドヤ顔にぶちまけてやりたい。

しかし、それをやったら色々とおしまいなので、必死に我慢。

ストレスたまりますよ、これ。

「良かったですわね、ルナニアさん。帝国騎士に戻れるなんて」

「…えぇ…そうですね…」

本気なのか。本気でそんなことするつもりなのか?

いくらカミーリア家の当主が骨を折ったとはいえ。

よく、あの頭の固い帝国騎士団隊長連中が、そんなことを許したものだ。

…もしや、あのオルタンスめが、余計なことをしたんじゃないだろうな。

…有り得る。

覚えとけよ、あの男。