無事にカミーリア家に帰り、自分の部屋で待っていると。

外が暗くなった頃に、マリーフィアが帰ってした。

またしても、大量の荷物と共に。

「ただいま戻りましたわ、ルナニアさん」

「あぁ、お帰りなさい。マリーフィアさん」

「はぁ、疲れましたわ。お友達と一緒に、何軒ものブティックやスイーツショップを回りましたの」

そうでしょうよ。見たら分かりますよ。その大量の荷物を見たら。

随分楽しんできたようじゃないか。

つい先週も、母親と一緒に大量に買い物をした癖に。

今日も、また大量に買ってきたんだな。

やっぱり買い物依存症なのでは?

「ルナニアさん。わたくしが買ってきたお洋服を見てくださいな。とっても素敵なお洋服なんですのよ」

マリーフィアは、うきうきと買ってきたばかりの洋服の取り出し、見せびらかし始めた。

別に見たくないんですけど。

「ほら、素敵でしょう?」

「えぇ、本当ですね」

にっこり笑って答える。

まーた、ひらひらしたピンクのワンピース。

似たような服ばっかり着て、こいつ恥ずかしくないのか?

ファッションセンスがワンパターンなんですよね。センスないなー。

しかも。

「ほら、この花柄のスカートも素敵でしょう?わたくし一目惚れしてしまって…」

…ん?そのスカート、見覚えがあるぞ。

「…そのスカート、先週お義母さんと買い物に行った時、同じもの買ってませんでした?」

「え?」

スカートを持ったまま、固まるマリーフィア。

そのまま、吸い寄せられるようにウォークインクローゼットをゴソゴソ。

中から出てきたのは、俺の推測どおり。

「あっ…本当ですわ」

今さっき買ってきたスカートと、全く同じデザインのスカート(値札付き)が出てきた。

同じスカートが2枚。

「…まさか、気づかずに買っちゃったんですか?」

「…まぁ、うふふ」

笑って誤魔化そうとは良い度胸だ。

自分が先週何を買ったかも覚えてないのか。健忘症か?

全く同じデザインの服を二枚も購入するなんて、まず滅多にないことですよ。

これが普通の人だったら、お店で欲しい服があったら。

よくよくデザインを確認して、試着をして、サイズを見て、財布と相談して購入する。というプロセスを経て、初めて商品をレジに持っていくが。

金持ちのマリーフィアは、そんなことを考える必要はない。

「あ、これ良いかも」と思ったら、値段も見ずに、手当たり次第にカゴに放り込み。

目ぼしいものがなくなったら、まとめてお会計。勿論カード払いで、財布と相談する必要はなし。

羨ましいお買い物じゃないですか。庶民は血の涙を流してるでしょうね。