で、翌日。
マリーフィアとの約束通り、俺は久し振りにルティス帝国総合大学に行き。
顔見知りと鉢合わせしないよう、慎重に講義室に向かった。
当然だが、周囲の学生は知らない者だらけだった。
まぁ、俺が以前所属していた学部とは違いますからね。
歴史文学部は、教育学部とはキャンパスの場所が違うみたいですし。
お陰で、顔見知りに会ってバレることはなかった。
が、俺が周囲の学生にとって、見慣れない顔であることは言うまでもない。
下手にびくびくして注目を集めてしまったら、「あんなヤツいたっけ?」と不信に思われること必至。
それだけは避けなければならない。
だが、俺はこんな下らないことで、オタオタ怯えたりはしない。
こういう場面では、堂々としていることが一番の変装だって、ルリシヤも言ってただろう?
「自分も学生ですが何か?」と胸を張って、堂々と席についた。
講義の内容は、このルティス帝国の文化の歴史について。
どれも大した内容じゃなくて、わざわざ必修講義にする必要はない気がする。
下らねー、と思いながら聞いていると。
「それじゃあ…次の質問は…」
黒板に板書をしていた教授が、くるりとこちらを振り向くなり。
当てられたくない学生達は、さっと視線を逸らした。
お陰で。
「はい、じゃあそこの君」
唯一、視線を逸らさなかった俺が、教授に指名された。
良い迷惑ですよ。全く。
「あれ?そこの君、よく見たら全く見覚えないけど誰?」とか言われたらどうするんですか。
しかし幸いなことに、御歳を召したヨボヨボ教授は、俺どころか、他の学生の顔もちゃんと覚えていないようで。
「ルティス歴874年に、アシスファルト帝国から伝わった新しい文化の流派の名前は?」
そんなこと簡単だ。小学生でも分かる。
「第二次アシスファルト・慎重派です」
「よろしい。では、その特徴は?」
「色彩をあまり使わない素朴な色使いで、繊細で洗練された絵画、彫刻、焼き物などの芸術品が多く作られたことです」
「大変結構。よく勉強してますね」
お宅の学生じゃないですけどね。俺。
褒められちゃいましたよ。部外者なのに。
講義の後、リアクションペーパーを書かされたが。
ちゃんと、マリーフィアの名前を記入しておいた。
それっぽいリアクションも書いておきましたよ。
「教授は今回〇〇という画家については触れませんでしたが、〇〇も第二次アシスファルト・慎重派の代表的な芸術家に含まれると思う」とか。
「同時期に庶民の間で密かに流行した、〇〇という庶民出身の作曲家が中心となった、第一次ルティス・優美派の芸術作品にも触れて欲しい」とか。
講義への出欠席を登録する出席カードも、ちゃんとマリーフィアのものを提出。
講義が終わって、講義室を出る段階に至っても、誰にもバレなかった。
いやはや、堂々としているって無敵ですね。
ついでだから、懐かしの学食に立ち寄って、本日の日替わりランチを食べて帰りました。
任務完了。
マリーフィアとの約束通り、俺は久し振りにルティス帝国総合大学に行き。
顔見知りと鉢合わせしないよう、慎重に講義室に向かった。
当然だが、周囲の学生は知らない者だらけだった。
まぁ、俺が以前所属していた学部とは違いますからね。
歴史文学部は、教育学部とはキャンパスの場所が違うみたいですし。
お陰で、顔見知りに会ってバレることはなかった。
が、俺が周囲の学生にとって、見慣れない顔であることは言うまでもない。
下手にびくびくして注目を集めてしまったら、「あんなヤツいたっけ?」と不信に思われること必至。
それだけは避けなければならない。
だが、俺はこんな下らないことで、オタオタ怯えたりはしない。
こういう場面では、堂々としていることが一番の変装だって、ルリシヤも言ってただろう?
「自分も学生ですが何か?」と胸を張って、堂々と席についた。
講義の内容は、このルティス帝国の文化の歴史について。
どれも大した内容じゃなくて、わざわざ必修講義にする必要はない気がする。
下らねー、と思いながら聞いていると。
「それじゃあ…次の質問は…」
黒板に板書をしていた教授が、くるりとこちらを振り向くなり。
当てられたくない学生達は、さっと視線を逸らした。
お陰で。
「はい、じゃあそこの君」
唯一、視線を逸らさなかった俺が、教授に指名された。
良い迷惑ですよ。全く。
「あれ?そこの君、よく見たら全く見覚えないけど誰?」とか言われたらどうするんですか。
しかし幸いなことに、御歳を召したヨボヨボ教授は、俺どころか、他の学生の顔もちゃんと覚えていないようで。
「ルティス歴874年に、アシスファルト帝国から伝わった新しい文化の流派の名前は?」
そんなこと簡単だ。小学生でも分かる。
「第二次アシスファルト・慎重派です」
「よろしい。では、その特徴は?」
「色彩をあまり使わない素朴な色使いで、繊細で洗練された絵画、彫刻、焼き物などの芸術品が多く作られたことです」
「大変結構。よく勉強してますね」
お宅の学生じゃないですけどね。俺。
褒められちゃいましたよ。部外者なのに。
講義の後、リアクションペーパーを書かされたが。
ちゃんと、マリーフィアの名前を記入しておいた。
それっぽいリアクションも書いておきましたよ。
「教授は今回〇〇という画家については触れませんでしたが、〇〇も第二次アシスファルト・慎重派の代表的な芸術家に含まれると思う」とか。
「同時期に庶民の間で密かに流行した、〇〇という庶民出身の作曲家が中心となった、第一次ルティス・優美派の芸術作品にも触れて欲しい」とか。
講義への出欠席を登録する出席カードも、ちゃんとマリーフィアのものを提出。
講義が終わって、講義室を出る段階に至っても、誰にもバレなかった。
いやはや、堂々としているって無敵ですね。
ついでだから、懐かしの学食に立ち寄って、本日の日替わりランチを食べて帰りました。
任務完了。


