The previous night of the world revolution8~F.D.~

酷い光景だと思いませんか。

どう考えても、メリーディアの方が正しいのに。

頭の悪い母娘のせいで、メリーディアが悪者に仕立て上げられている。

こんな歪んだ家庭環境で育って、よくもまぁ、メリーディアはあんな真っ当な人間になったものですよ。

「…」

これ以上言っても無駄だと思ったのか、メリーディアは呆れて、頭を振っていた。

宇宙人と喋ってる感覚だろうな。メリーディアにしてみれば。

話が通じない。

「…ともかく、私は犯罪に巻き込まれるのは御免です。代わりに講義に出るようなことはしません」

頭の悪い継母と、頭の悪い妹に囲まれ、いわれのない糾弾を受けながら。

それでも、毅然とした態度で断るメリーディア。立派だ。

「…!」

メリーディアの反抗的な態度に、マリーフィアとユリーフィア母は、目を見開いたが。

「…良いですわ。そこまでおっしゃるなら、もう頼みませんわ」

聞き分けのない子供を叱る親のように、マリーフィアがキレた。

逆だろ。お前にキレる資格があるとでも?

「お姉様は優しさの欠片もありませんものね。良いですわよ。代わりに、ルナニアさんに頼みますから」

は?

唐突に自分の名前が出てきて、思わず一瞬思考が止まったんですけど。

「ルナニアさんはお姉様と違って優しい方ですから、きっとわたくしのお願いを聞いてくれるはずですわ」

「そう。なら、好きにしてちょうだい」

話はおしまいとばかりに、メリーディアはその場を立ち去った。

ちょっと。俺に色々な責任を押し付けて行かないでくださいよ。

「全く、なんて子かしら。可愛げもなければ、優しさもない…」

立ち去ったメリーディアの背中を睨みながら、ユリーフィア母が愚痴った。

お前はモラルもなければ、常識もないな。

全く、なんて母親だ。

「もうお姉様には頼みませんわ。わたくし、ルナニアさんに頼んできますわね」

「えぇ、そうしなさい。あの方は、あの子と違って優しくて親切ですもの。あなたの夫に相応しい人物ですわ」

姑に認めてもらえるというのは、潜入している婿にとっては光栄なんだろうけど。

代返なんか頼まれる俺にとっては、願い下げ以外の何物でもないんですが?

こいつらには、友達との約束を後日にずらしてもらうという選択肢がないのか?