The previous night of the world revolution8~F.D.~

こいつ、またお買い物かよ。

今度は母親じゃなくて、友達と。

どうせ貴族のお友達だろう。聞かなくても分かる。

こいつ、毎週お買い物に行かないと気が済まないのか?

買い物依存症? 

「ずっと前からのお約束でしたから、断る訳にはいきませんの」

などと供述しており。

知るかよ。学業優先だろ。学生の本分を何と心得る。

学生は勉強することが仕事。

帝国騎士は国民を守ることが仕事。

そして、俺達マフィアはそんな帝国騎士に嫌がらせするのが仕事。

それぞれ、自分達のやるべき仕事というものがある。

友達と遊びに行きたいから、大学の講義をサボろうなんて言語道断。

どうしてもサボりたいなら、代返なんてみみっちいこと頼まず、堂々とサボって堂々と留年しろ。

その方が、まだ清々しいというものだ。

こんなふざけた要求に、さすがのユリーフィア母も、身勝手な娘を叱るかと思われたが。

と言うか、親なら叱るべきだと思ったが。

「そうだったんですのね。だったら、協力してあげれば良いじゃないですの」

ユリーフィア母は、まるでメリーディアが我儘を言っているかのように、じろっとメリーディアを睨んだ。

おい、逆だろ。我儘言ってんのはマリーフィアだ。

「お…お継母様…」

「代わりに授業を聞くだけでしょう?」

その程度のことを断るなんて、この子ったらなんて心が狭い、と言わんばかり。

そういう問題じゃないってこと、この馬鹿な母親は分かってないらしいな。

「でも…もし大学側にバレたら、大変なことになるんですよ」

必死に抗弁するメリーディア。仰る通りである。

「言わなければ分からないでしょう?それに、もしバレたら謝れば良いだけのことですわ」

成程。マリーフィアが恥知らずにも、レポートの代作だの代返だのを、軽いノリで頼んでくる理由がこれだ。

母親であるユリーフィアは、まずそれらの不正を「悪いこと」だと認識していない。

小学生が宿題を持ってくるのを忘れた、程度のことだと思ってる。

母親がそんなだから、娘であるマリーフィアも、全く罪悪感というものがない。

バレても、「ごめんちゃいw」で許してもらえると思ってる。

世の中を舐めきってるな。

「ごめんなさい」では許されないことが、世の中にはたくさんあるんだってことを知らない。

こいつらは、いっぺん地獄を見た方が良いですね。

正しい認識をしているの、メリーディアしかいない。

「それに、わたくしはマリーフィアを、お友達との約束を破るような子に育てた覚えはありませんわ。お友達はとっても大切なものですから」

…偉そうに説教してるが。

友達の約束を破るような娘に育てた覚えはないが。

大学の講義をサボって、無関係の姉に代返を頼む恥知らずな娘に育てた覚えならある。ということだろうか。

クズですね。

おまけに。

「…まぁ、あなたには友達の一人もいませんから、分からないんでしょうけど」

「っ…」

聞きました?今の。

完全に継子いじめですよ。