レポートの件から、一週間も経っていないある日。
その日は、別に家探しをしていた訳でも、マリーフィアを探していた訳でもないのだが。
屋敷の中を歩いていると、食堂の前を通りかかった時、不意に揉めているような声が聞こえてきた。
「…だから、お願い。お姉様」
「駄目よ。これで何度目だと思ってるの。私は協力出来ないわ」
…この声は。
俺はこっそりと、忍び足で揉めている声の方に向かった。
すると、俺の思ったとおり。
「そこを何とか…大事な約束ですの」
「ちゃんと話せば理解してくれるわ。友達なんでしょう?」
「友達だからこそですわ。ずっと前からの約束ですから、断る訳にはいきませんの」
「だったら、単位を落とすしかないわね」
「お願いしますわ、お姉様…」
マリーフィアと、姉のメリーディアである。
またしても、マリーフィアはメリーディアに何かを頼んでいるようだった。
…今度は何だ?あの懲りない女…。
単位がどうとか言ってるから、また大学関連の話か。
気配を消し、物陰から隠れて見ていると。
今度は、そこにまた新たな人物がやって来た。
「一体何の騒ぎですの?」
「あっ、お母様…」
ユリーフィア母が乱入。
さて。傍から見ている分には、面白くなってまいりました。
「お母様、わたくし、お姉様にお願い申し上げてたんですの」
渡りに船とばかりに、母親に訴えるマリーフィア。
「お願い?何のお願いですの?」
「明日の大学の必修講義に、わたくしの代わりに出席して欲しいって」
まさかの、代返要求。
大罪人ですよ、この女。
大学を何だと思ってるんですか。レポートを人に書かせたかと思ったら、今度は講義に代わりに出席しろと。
そんなに講義に出たくないなら、もう大学やめたら?
そんなんで学位取得しても、何の成果にもならないだろうに。
分かってるか?代返なんて、バレたらマリーフィアのみならず。
代返を引き受け、片棒を担いだメリーディアまでもが、責任を問われることになるんだぞ。
ましてや、メリーディアはルティス帝国総合大学の学生じゃないのに。
もし、部外者が学内に紛れ込んで、勝手に講義室に潜り込んだなんてことが大学側に知られたら。
それこそ、警察沙汰になってもおかしくない。
レポートを代筆してくれ、というお願いとは、訳が違う。
しかも。
「どうしてなんですの?マリーフィア。明日は学校には行けないの?」
「はい。わたくし、明日はお友達とお買い物に行く約束をしてるんですの」
これが、代返の動機。
…聞いたか。おい。
その日は、別に家探しをしていた訳でも、マリーフィアを探していた訳でもないのだが。
屋敷の中を歩いていると、食堂の前を通りかかった時、不意に揉めているような声が聞こえてきた。
「…だから、お願い。お姉様」
「駄目よ。これで何度目だと思ってるの。私は協力出来ないわ」
…この声は。
俺はこっそりと、忍び足で揉めている声の方に向かった。
すると、俺の思ったとおり。
「そこを何とか…大事な約束ですの」
「ちゃんと話せば理解してくれるわ。友達なんでしょう?」
「友達だからこそですわ。ずっと前からの約束ですから、断る訳にはいきませんの」
「だったら、単位を落とすしかないわね」
「お願いしますわ、お姉様…」
マリーフィアと、姉のメリーディアである。
またしても、マリーフィアはメリーディアに何かを頼んでいるようだった。
…今度は何だ?あの懲りない女…。
単位がどうとか言ってるから、また大学関連の話か。
気配を消し、物陰から隠れて見ていると。
今度は、そこにまた新たな人物がやって来た。
「一体何の騒ぎですの?」
「あっ、お母様…」
ユリーフィア母が乱入。
さて。傍から見ている分には、面白くなってまいりました。
「お母様、わたくし、お姉様にお願い申し上げてたんですの」
渡りに船とばかりに、母親に訴えるマリーフィア。
「お願い?何のお願いですの?」
「明日の大学の必修講義に、わたくしの代わりに出席して欲しいって」
まさかの、代返要求。
大罪人ですよ、この女。
大学を何だと思ってるんですか。レポートを人に書かせたかと思ったら、今度は講義に代わりに出席しろと。
そんなに講義に出たくないなら、もう大学やめたら?
そんなんで学位取得しても、何の成果にもならないだろうに。
分かってるか?代返なんて、バレたらマリーフィアのみならず。
代返を引き受け、片棒を担いだメリーディアまでもが、責任を問われることになるんだぞ。
ましてや、メリーディアはルティス帝国総合大学の学生じゃないのに。
もし、部外者が学内に紛れ込んで、勝手に講義室に潜り込んだなんてことが大学側に知られたら。
それこそ、警察沙汰になってもおかしくない。
レポートを代筆してくれ、というお願いとは、訳が違う。
しかも。
「どうしてなんですの?マリーフィア。明日は学校には行けないの?」
「はい。わたくし、明日はお友達とお買い物に行く約束をしてるんですの」
これが、代返の動機。
…聞いたか。おい。


