The previous night of the world revolution8~F.D.~

ノリノリでレポートを書き終え。

一人で、ゆっくりと紅茶を飲んでくつろいでいると。

「ルナニアさん、ただいま戻りましたわ」

優雅にお買い物に行っていたマリーフィアが、両手に紙袋をたくさんぶら下げて戻ってきた。

おっと。お戻りですか。

「お帰りなさい、マリーフィアさん。楽しかったですか?」

「えぇ。お母様とお買い物なんて久し振りですから、楽しかったですわ」

今の、嫌味のつもりだったんですけどね。

それよりもマリーフィアは、買ってきた品物を見せびらかすことしか頭にないようで。

「見て下さいな、新しいお洋服ですの」

と言って、紙袋の中から、買ってきたばかりの服を出して見せてきた。

フリフリのピンク色のブラウスに、腰のところに巨大なリボンがついたワンピース。

ひらひらの花柄のスカートに、袖にも腰にも胸元にも、たっぷりとリボンがついた淡いピンクのコート。

おまけに、これまたピンク色のヒール付きのパンプスやら、大きなリボンのついた髪飾り。

赤いハート型のハンドバッグから、ピンクダイヤモンドをふんだんにあしらった腕時計まで。

出るわ出るわ。一体何軒はしごしたんだ?と聞きたくなる。

おまけに、全部少女趣味。

うわぁ…。ドン引きですよ。

常日頃、流行の最先端を追い求める俺とは、まるで正反対ですね。

酷い趣味だ。

「どうです?可愛いでしょう?」

「えぇ…。…そうですね…」

「良かった。どれも可愛くて、目移りしてしまったんですのよ。あんまり素敵なお洋服ばかりでしたから、全部買っちゃいましたわ」 

豪遊。

貴族だからって、やりたい放題かよ。

俺が、押し付けられたレポート課題に必死になっている間に、随分とお買い物を楽しんだようじゃないか。

レポートの途中で、「余談だがこのレポートは代作である」との一文を挟んでおいてやったからな。

冗談ですけど。

でも、やっぱり書いておけば良かった。

「ルナニアさんが褒めてくれて、嬉しいですわ。早速着替えてきますわね」

いや、別に見たくないから着替えなくて良いですけど。

「あの、マリーフィアさん。レポートのことなんですが」

「…え?レポート?」

おい。もしかして忘れてたんじゃないだろうな。

人に押し付けておいて?

「課題のレポートですよ」

「…あ、そういえばそうでしたわね…」

本当に忘れてたのか。

人に押し付けて、自分は優雅に買い物して、挙げ句に人に押し付けたことさえ忘れるのか。

メリーディアは、これまでよくこの女の課題を代作してあげたことだ。

有り難みの欠片もないじゃないか。

やっぱり、さっき書いたレポート、シュレッダーにかけてやろうかな。