The previous night of the world revolution8~F.D.~

それから俺は、記憶を頼りに、レポートを書き始めた。

ベルガモット王家について、じゃないですよ。勿論。

王家は王家でも、俺が書いているのは、シェルドニア王家の歴史である。

覚えているか?あの頭の中縦ロールアシミムの家系である。

アシミムのヘールシュミット家と、同じく王位を争ってきたトレギアス家の歴史だ。

シェルドニア王家の歴史については、あの国に捕われている間に、嫌と言うほど思い知らされた。

今更、いちいち調べることなくスラスラ書けるくらいにな。

万が一分からないことがあれば、今すぐアシミムに連絡して聞けば良い。

「お前ん家のこと教えろ」ってね。

アシミムは俺に逆らえないのだから、それで解決。

いやぁ、博識で済みませんね。

覚えていることを書くだけなので、簡単にレポートは進んだ。

早くも半分以上書き進めた、その時。

「…そこで何をしてるの?」

「ん?」

声がした方を振り向くと、部屋の扉のところに、険しい顔をしたメリーディアが立っていた。

おっと。どうも。

「そこで何をしてるの?ここはマリーフィアの部屋でしょう」

「知ってますよ。メリーディアさんこそ、どうしたんですか?マリーフィアさんに何か用事で?」

「私は…マリーフィアが課題に困ってるんじゃないかと思って、様子を見に来ただけよ」

あんなにマリーフィアに扱き下ろされていたのに、やっぱり手伝ってあげようと?

お優しいですね。

「そうですか。マリーフィアさんは今、お義母様とお買い物だそうですよ」

「買い物…?課題を放っておいて?」

「課題は今、俺がやってるところです」

「…」

もう半分以上終わりましたよ。

しかし、メリーディアは。

「まさか、あなたがやってあげてるの…?」

「はい。マリーフィアさんに頼まれて…」

「…はぁ…」

深々と溜め息。

「何の為に、私があの子を突っぱねたと思ってるの。少しは自分でやらせようと思って…。それなのに、あなたがやってあげてるんじゃ意味ないじゃない」

仰る通りですよ。俺もそう思います。

点数稼ぎじゃなかったら、俺だってこんなことしませんよ。

「そうですけど…。でも、マリーフィアさんが困ってたので…」

「せめて、少し手伝うだけにするとか…。でないと、いつまで経ってもあの子は人に頼ってばかりよ」

俺だって、そのつもりだったんですよ。

手伝うだけのつもりだったのに、まさか丸投げされるとは思いませんでした。

本当はメリーディアに禿同なのに、マリーフィアを庇わなきゃいけない悲しみよ。

「そこまで言わなくても…。きっとマリーフィアさんも、自分で頑張るつもりだったんですよ。でも、今回はちょっと…旅行に行ったりしてたから、時間がなかっただけで…」

「…もう良いわ。初めから、あなたには何も期待してないから」

冷たいと思いません?…この言い草。