The previous night of the world revolution8~F.D.~

何か誤解してるのかもしれませんけど。

俺はあくまで、課題を「手伝う」と言ったのであって。

丸投げして良いですよ、なんて一言も言ってない。

自分の課題を他人に押し付けて、自分は優雅にお買い物だと?

そりゃあ、メリーディアも嫌気が差して断りますよ。

しかも、これまで何度も頼まれていたなんて、冗談じゃない。

それなのに、一回「自分でやりなさい」と怒られたからって、逆ギレとは。

やっぱり留年しろ。

「はぁ…」

マリーフィアの去った部屋の中で、俺は深々と溜め息をついた。

…分かりましたよ。やりますよ。やれば良いんでしょう?

この程度でマリーフィアの信頼を得られるなら、安いものだと思おう。

…レポートの末尾に、「このレポートの筆者はルナニア・ファーシュバルである」と書き加えておいてやろうか。

そのくらいやっても、文句を言われる筋合いはないぞ。

心の中で愚痴っていても仕方ないので、俺はマリーフィアのパソコンの前に座った。

…ついでに、このパソコンのデータを吸い出して、アイズに解析してもらいましょうかね。

まぁ大したものは出てこないでしょうけど、一応。

で、肝心のレポート課題だが…。

かなりざっくりとしたテーマだよな。「王家の歴史」…。

俺は歴史文学部の講義に出たことがないから、普段どういう勉強をしているのか知らないが…。

マリーフィアに聞いても分からないんだろうな。あいつ、講義サボってるから。

普段の講義をサボっている分、レポート課題の成績くらい優秀でないと、それこそ単位もらえないぞ。

恐らくだけど、このレポートが指す「王家」という文言は、ベルガモット王族のことを意味するのではないかと想像する。

だから多分、ベルガモット王家の歴史について書けば、それで正解なんだと思う。

何なら今すぐルーチェスに電話して、「ちょっとご実家のこと教えてもらえません?」と頼んだら。

「あっ、良いですよー」って言って、俺も知らない王家の裏事情まで教えてくれそう。

やった。それで解決ですね。

…とは、いかないのが辛いところ。

俺が代作したってバレたら、留年どころじゃ済みませんからね。

さすがに、教授も知らない王家の裏事情を書く訳にはいかない。

俺は一応、これでもウィスタリア家の生まれ。

ベルガモット王家についても、一通りのことは勉強させられている。

おまけに、あの忌々しい帝国騎士官学校で、しこたま勉強させられた。

だから、ベルガモット王家についてレポートを書けと言われても、マリーフィアみたいに困ることはない。

書こうと思ったら、レポート10枚どころか、20枚でも30枚でも書けますけど。

かといって、書きたいかどうかは別の話。

言うまでもないが、俺はベルガモット王家に恨みがある。

あ、ルーチェスは別ですよ?ルーチェスは俺の可愛い弟子なので。

しかし、ルーチェスを抜きにしたら、ベルガモット王家についてレポートを書くなんて苦行、絶対御免である。

いくら、マリーフィアに対する点数稼ぎとしても。

ならば、どうするか…。

…よくよく、テーマを見てみてくださいよ。

今回は「王家の歴史について」というテーマであって、「ベルガモット王家について」ではない。

つまり、よその国の王家でも良いという訳だ。

じゃ、これで解決ですね。