The previous night of the world revolution8~F.D.~

ルレイアからの便りを、俺は貪るように読んだ。
 
大したことは書いていなかった。

「箱庭帝国旅行に来たので、皆さんにもお土産を送りますね。俺だと思って大事にしてくださいね」だって。

それが呪いのグッズを人に送り付けた奴の台詞か?

それから、手紙にはもう一つ。

「ルアリスんとこに、メス猿が一匹生まれたそうですよ」とのこと。

なんと。これは朗報じゃないか。

メス猿言うな。失礼だろ。

出産祝い、送らないとな…。

それから手紙を読み進めていると、突然、非常に重要な情報が書き記してあった。

カミーリア家の宝物庫に関する情報である。

「…!アイズ、これ…」

「うん…。ルレイア、早速接触を試みたみたいだね」

あいつ、無茶し過ぎだろ。

ルレイアのことだから、上手く立ち回ってるとは思うけど…。

事を急いて、怪しまれたらどうするんだよ。

ルレイアからの手紙によると、カミーリア家の宝物庫が開けられるのは、当主の誕生日のみ。

その時に、当主と跡継ぎのマリーフィアが、『ローズ・ブルーダイヤ』を確認するらしい。

「当主の誕生日ってのは、いつだ?」

「ちょっと待って」

アイズは、すぐさまカミーリア家に関する調査書を調べ始めた。

仕事が早い。

「あった。…二ヶ月後だね。ほら」

アイズが、カミーリア家の当主に関する調査書を見せてくれた。

そこに、生年月日も記録されていた。

今からおよそ二ヶ月後。その日が、カミーリア家の当主の誕生日。

つまり、その日がタイムリミットということだ。

「近いな…。二ヶ月なんて…」

せめて半年あれば、何とか出来たかもしれないが。

二ヶ月しかないんじゃ、いくらルレイアといえども。

カミーリア家の連中の目を盗み、こっそり宝物庫に忍び込み、『ローズ・ブルーダイヤ』を元の場所に戻す…なんて。

そんなこと、本当に出来るのか…?

すると、そんな俺の不安を察したように。

「大丈夫ですよ、ルレイア師匠なら。二ヶ月もあれば充分です」

ルレイアの弟子であるルーチェスが、きっぱりとそう言った。

…分かってるよ。

ルレイアなら大丈夫だろう。きっと上手くやるだろう…俺もそう思う。

でも、俺が心配しているのはそういうことじゃない。

期限内に何とかする為に、ルレイアが無茶をするんじゃないか。

それが心配なんだよ。

あいつは、時に自分の身を顧みずに無茶する節があるから…。

俺がいないところで、無理してるんじゃないか。

そう思うと、俺は気が狂いそうになるのだ。

「…出来るだけのサポートはしよう。ルレイアだけに無茶をさせないようにね」

「…あぁ…」

アイズがそう言い、俺も頷いた。

…ルレイア。俺に出来ることがあったら、何でも言ってくれよ。頼むから。