The previous night of the world revolution8~F.D.~

「ここが、ルナニアさんのお部屋ですわ」

「分かりました。ありがとうございます」

よくある嫁いびりでは、嫁だけ屋根裏部屋とか納屋とか、物置を寝室としてあてがわれる…というのが定番だが。

全然そんなことはなかった。

どころか。

「その…わたくしのお部屋は、向かい側ですのよ」

と、何やらもじもじしながら教えてくれた。

はーん、成程。夜這いに来ても良いよ、ってことですね。分かります分かります。

「そうなんですね。分かりました」

「え、えぇ。ではごゆっくり」

夜這いは俺のジョブだが、マリーフィアに対してはどうかな。

マリーフィアが部屋から出ていくなり、俺は自分にあてがわれた部屋の中を、ぐるりと見渡した。

かなり広い部屋だ。ウィスタリア家の…実家の自室を思い出す。

日当たりも良いし、カーペットも窓のカーテンも、ベッドのシーツ一枚に至るまで、全てが新品だった。

だが、趣味は悪いな。

カーペットはけばけばしい赤色だし、カーテンも派手な花柄模様。

貴族としての品格ってものを感じられない。

そこに飾ってある、惜しみなくルビーがあしらわれた壁時計なんて、あまりの趣味の悪さに閉口してしまうほどだ。

成り金趣味め。

宝石は大きければ大きいほど良い、とでも考えてそうだな。

長旅の疲れを癒やす為に、まずは熱いシャワーでも浴びて、さっさとベッドに横たわりたいところだが。

残念ながら、そうは行かない。

まず最初に、やるべきことがあるだろう?

俺は荷ほどきそっちのけで、まず部屋の中の調査を始めた。

カーペットの裏、本棚の奥、ベッドサイドに置いてあるランプのカサの裏側。

果ては、壁に埋め込まれた電源コンセントのカバーを外して、怪しいものが仕掛けられていないかチェックした。

怪しいものとは、つまり盗聴器やカメラの類である。

いつだったか、『帝国の光』に斡旋されたアパートに初めて入居した時も、似たようなことをしましたね。

だが、上下左右を監視人に囲まれた、あのアパートとは違って。

この貴族のお屋敷には、そういった怪しいものは、何も仕掛けられていなかった。

そんなことだろうと思ってましたけど。

どうやら、あの呑気なカミーリア親娘は、俺を少しも警戒していないらしい。

拍子抜けしたが、安心もした。

この時点で部屋の中に監視アイテムがあったら、これから先、俺は今以上に言動に注意しなければならないところだった。

今のところは疑われてないってことで、ちょっとは肩の力を抜いても良いですかね。

まぁ、抜き過ぎることはありませんが。

監視されてないと分かれば、早速今夜にでも、行動を起こすことにしよう。