The previous night of the world revolution8~F.D.~

「お母様…。会いたかったですわ」

「わたくしもですよ、マリーフィア」

たかが一週間程度で大袈裟な。

と言いたかったが、ぐっと我慢。

「無事に戻ってきてくれて、何よりですわ。よりによって、あの野蛮な箱庭帝国に旅行に行くなんて言い出すものですから…」

聞きました?野蛮だって。

ルアリスが聞いてたら、激怒不可避。

「旅行に行くなら、もっと治安の良い国にすれば良かったものを…。シェルドニア王国とか…」

洗脳されて帰ってくれば良かったのに、ってか?

冗談じゃない。あんな国に自分から足を踏み入れるくらいなら、ルティス帝国のスラム街に旅行に行った方がマシですよ。

スラム街ツアー…。なかなか興味深いじゃないですか。ちょっと行ってみたくなりますね。

「怖い思いはしなかった?危ないことはありませんでしたか?」

「まさか、そんなことありませんわ。お母様」

「本当に?」

「…まぁ、ちょっと…食べ物は、あまり美味しくありませんでしたけど…」

「ほら。やっぱり…」

やっぱりって何ですか。

さっきからこのおばさん、箱庭帝国に喧嘩売ってるのか。

失礼過ぎないか。ただの好き嫌いだろ。

「さぁ、ルティス帝国に戻ってきたのですから、好きなものを食べて、ゆっくり休みなさい」

「ありがとうございますわ、お母様。それから…これ、お母様にお土産ですわ」

「まぁ」

マリーフィアは、箱庭帝国で買ってきたお土産を、母親に渡した。

「嬉しいわ。何かしら」

「開けてみてくださいな」

娘からもらったお土産を、うきうきと開けるユリーフィア母。

しかし、その嬉しそうな表情は、中から出てきたモノを見て、固まってしまった。

「こ…これは何ですの?」

「ブローチですわ。お母様」

出てきたのは、箱庭帝国産の木の実と鳥の羽根を加工した、天然素材のブローチ。

これはこれで民族衣装っぽい、エスニックデザインなブローチでアリだと思うけど。

どうやら、お母様のお眼鏡には適わなかったようで。

「そ、そう…。これが…箱庭帝国のお土産なのね…」
 
何だ。その煮え切らない感想。

良いじゃないか。エスニックデザインのブローチ。お洒落で。

何か文句でもあるのか?

「そのブローチ、ルナニアさんが勧めてくださったんですのよ」

おい。俺に責任を擦り付けようとするんじゃない。

俺の趣味みたいに思われてるかもしれないが、別にそういう訳じゃないからな。

「…あなたの…?」

ほら見たことか。

お前かよ、みたいな目でこっちを見ている。

これが、ほぼ初めてのユリーフィア母との対面だというのに…印象を悪くするのはやめてもらえないか。