The previous night of the world revolution8~F.D.~

空港からタクシーに乗って、俺とマリーフィアはカミーリア家の屋敷に向かった。

俺だって一応、生まれは上級貴族の端くれだから。

それなりの豪邸で生まれ育った自覚はある。

それでも、カミーリア家の屋敷は、また別格だった。

「…凄い豪邸ですね…」

「あら。そういえば、ルナニアさんをわたくしの家に連れてくるのは、初めてでしたわね」

「えぇ、そうですね」

ウィスタリア家の屋敷の、軽く2倍はある。

一体何部屋あるんだ?と聞きたくなるほどの豪邸。

絶対こんな広さ、必要ないだろ。

「今日からここが、ルナニアさんのお家ですのよ。ゆっくりくつろいでくださいね」

「ありがとうございます、マリーフィアさん」

俺はにっこりと微笑んでみせたが。

腹の中では、「くつろげる訳ねーだろ」と思っていた。

あんたにとっては実家でも、俺にとってはアウェーなんだぞ。

ただでさえ、肩身の狭い婿入り婚なのに…。

俺の昔の経歴からしても、容易く受け入れられるはずがないのは自覚している。

カミーリア家の、ご立派なお屋敷に入るなり。

俺とマリーフィアは、まず真っ先に、カミーリア家の当主のもとに向かった。

つまり、マリーフィアの母親であり…俺にとって姑に当たる人物のもとに。

まずは、彼女に挨拶しないことには、俺はこの家に居る資格もない。

さて。姑と言えば、偏屈で嫌味っぽくて、嫁をいびることに魂を注いでいる…というのが、漫画やドラマのお決まりだが。

現実はどうでしょうね?

結婚式の時、軽く挨拶はしたけれど。

ちゃんと顔を合わせて話をするのは、これが初めてだ。

「お母様!ただいま戻りましたわ」

マリーフィアは、母親の部屋に飛び込んでいった。

部屋の中には、ゴテゴテとした厚化粧で、年甲斐もなく赤いドレスに身を包み。

大粒のダイヤモンドのネックレスと、大粒のサファイアの指輪と、両耳にはこれまた大粒のトパーズのイヤリングをつけ。

鼻が捩れそうな、甘ったるい趣味の悪い香水を吹き付けた、中年の女性が座っていた。

うわぁ…。…これが姑?

「まぁ、マリーフィア…。戻ってきたのね」

マリーフィアの母親、ユリーフィア・レーヌ・カミーリアは、娘の顔を見るなりソファから立ち上がり。

こちらに歩み寄ったかと思うと、しっかりとマリーフィアを抱き締めた。

感動の再会、って奴ですね。