The previous night of the world revolution8~F.D.~

「それで、今朝はお弁当に入れる卵焼きを作ってみたんですけど…。この通りの出来でして…」

「いや…初めてでこれなら、及第点なんじゃないか?」

「嫁もそう言ってました…」

だろ?

見た目はちょっとアレかもしれないけど、味は普通に美味しそうだし。

ちょっと焦げてるくらい、どうってことないだろ。

全然許容範囲だと思う。

「凄いな、ルヴィア…。新しいことにどんどん挑戦して…」

なかなか出来るもんじゃないぞ。

「ルルシーさんも、何か始めてみたらどうですか?」

「え、俺も…?」

「最近のルルシーさん、何だか無理に根を詰めて、焦って仕事ばかりしているような気がしますから…。…心配だったんです」

「…」

…バレてる。

…て、そりゃバレるに決まってるよな。

自分でも、自覚はしてる。

「…やっぱり、ルレイアさんのことが心配ですか?」

「…まぁな」

ルヴィア相手に、意地を張っても仕方がない。

「分かりますよ。大事なパートナーが傍に居ないと辛いですもんね…。俺だって、たまにフューニャが華弦お義姉さんと買い物に行った日なんて、あまりの寂しさに数時間記憶が飛びますから」

それはお前だけだ。一緒にするな。

さすがに記憶は飛ばねーよ。

「寂しいのは分かりますけど、あんまり根を詰め過ぎたら、身体に良くないですよ」

「それは…そうなんだけど…」

「今だって、せめて食事くらいはちゃんと摂って欲しいと思って、LLピザを頼んだのに…二切れしか食べてないですし」

このピザは、そういう気遣いだったのか?

餅を喉に詰まらせてしまえ、という嫌がらせのつもりじゃなかったんだな。安心した。

「新しいことじゃなくても…。仕事以外に、何か熱中出来ることがあれば…少しは、気が紛れるんじゃないでしょうか?」

「…そうだな…」

…ただでさえルレイアが心配なのに、他のことで気を紛らわせるなんて出来っこない、というのが本音だったが。

これ以上、部下に気を遣わせる訳にはいかないな。

「…ありがとう、ルヴィア…。考えておくよ」

「はい、そうしてください」

この時点で俺の頭の中に、一つ思い浮かんだことがあった。

早速、午後にでも…「あいつ」のもとを訪ねてみようと思った。




…ちなみに、もちもちピザは食べきれなかったので、別の部下を数人呼んで、皆で分けて食べてもらった。

幸い餅を喉に詰まらせる者はいなかったので、これで一安心である。