The previous night of the world revolution8~F.D.~

お弁当に卵焼きが入っているのは珍しくない…と言うか、むしろ定番だけど。

その卵焼き…何だか、ちょっと…。

「…卵焼き、焦げてね?」

「え?」

言ってしまってから、失言だったと気づいた。

自慢の愛妻弁当に、ケチをつけるようなことを言ってしまった。

「ご、ごめん。なんでもな…」

これにはルヴィアも怒ったか、と思われたが。

むしろルヴィアは、苦笑いしつつ答えた。

「そうなんです。ちょっと失敗しちゃったんですよね〜」

あ、そ…そうなんだ。

まぁ、卵焼きってシンプルな料理だけど、結構奥が深いって言うか…難しいもんな。

俺も未だに、たまに焦がすことあるからさ。

偉そうに人のこと、とやかく言う資格ないんだよな。

「普段は料理上手だけど、ルヴィアの嫁も、たまには失敗することもあるんだな」

良いんじゃないか?

完璧過ぎず、ちょっと焦げてるところがあるくらいの方が、ほら、愛嬌があるって言うか。

家庭的って感じがしないか?

しかし、ルヴィアは。

「あ、いえ。違いますよ。これは嫁が作ったんじゃなくて」

「え?」
 
「この卵焼きは、俺が作ったんです。…まぁ、見ての通り焦がしちゃったんですけど…」

えっ。

ルヴィア嫁が作ってくれた愛妻弁当かと思いきや。

「…ルヴィアが作ったのか?」

「はい。卵焼きだけ」

「…分業…?」

他のおかずはルヴィア嫁が作ってくれたのに、卵焼きだけは自分で作ったのか。

弁当のおかずを分業することって、ある?

するとルヴィアは、よくぞ聞いてくれたとばかりに。

「最近俺、自分でも料理作れるようになりたいと思って、フューニャに教えてもらうことにしたんです」

めちゃくちゃ良い笑顔で、そう言った。

…あぁ。俺、またなんか地雷スイッチ押したっぽい?

後悔しても、既に時遅し。

「ほら、嫁が具合悪くなった時とか、華弦お義姉さんと遊びに行く時とか、自分で料理作れたら、嫁の手を煩わせることはなくなるでしょう?」

「まぁ…そうだな」

お前、偉い奴だな。良い旦那だよ。

妻の体調が悪い時、ドヤ顔で「俺の飯は心配しなくて良いよ。外で食べてくるから」と言って外食する、全国の駄目な夫達に見習って欲しいくらいだ。

「最初の頃は、カレー作るだけでも、俺がキッチンに立ってるだけで心配して、じーっと監視されてたんですけど…」

「…今は?」

「簡単なパスタとか、サラダくらいだったら、信用して任せてもらえるようになりました」

そうか。千里の道も一歩から、だな。

聞いてるか?全国の、「俺料理なんてしたことないから」とか言って奥さんに炊事任せっぱなしの旦那達。

ちょっとずつでも、練習すれば出来るようになるんだぞ。諦めるな。