「狭い部屋だけど、どうぞ」

「おじゃましまーす」


わたしの部屋に入ると、瑛麻ちゃんは目を輝かせた。


「わ~! ゆるるんの部屋、ゆるるんの匂いがして落ち着く!」

「え、そうかな」

「ここがゆるるんのお城なんだね」


瑛麻ちゃんが嬉しそうに部屋を見渡す。


そう、ここは自分の力で手に入れた、わたしだけのお城なのだ。

瑛麻ちゃんに肯定してもらったことで、そう思い直すことができ、胸の中に芽生えた小さな卑下は消え去った。


「どうぞどうぞ、座って」

「うん! あ、これつまらないものなんだけどお土産。一緒に食べよ♪」


クッションに座りながら、瑛麻ちゃんが持っていた紙袋を差し出してくれる。


「わ、ありがとう」

「駅で行列ができてたから、つい買っちゃった」

「チョコ? おいしそう……!」