「なあ。俺が消してやってもいいんだぞ」 すっかり戦意を喪失している男の人に向かって、そう囁く。 このままじゃ、藍くんの手が汚れてしまう。 藍くんが……。 「やめて!」 思わず叫んでいた。 我に返ったように藍くんの瞳に彩光が宿る。 「由瑠……」 「元はわたしが発情しちゃったせいだし……。もう許してあげて……」 すると藍くんの手がふっと緩み、その隙に男の人は慌てふためくように逃げて行った。