なけなしの理性でわたしはガバッと布団を撥ね除け、藍くんから距離をとった。


鼓動はまるでジェットコースターに乗った後かのように、爆速で暴れている。

心臓が今にもはち切れそう。


「あ、あのっ、わたしもう行くねっ」


それだけ言うと、藍くんの目もまともに見られないまま保健室を駆け出した。


舐められ触れられた部分に熱が集中して火照っている。

ついでに頬もきっと発火しているのではと思われるほど赤いはず。


藍くんを前にしたら、きっと心臓は何個あっても足らない。


――でもこのどきどきは、本能のせいでしかないのだ。