昼休みの廊下は、大勢の人で溢れている。
ひとつしか歳は変わらないのに、3年生の証である深い紺色のネクタイやリボンを着けた人たちがひどく大人びて見えて、緊張で背筋が伸びる。
談話している人たちの間を縫い、ようやく藍くんの教室に着いた。
けれど教室に藍くんの姿はない。
その後も非常階段や空き教室、裏庭などを探し、そのどれもが空振りに終わると、もしや昼寝でもしているのではと最後の賭けで保健室へ向かってみる。
1階にある保健室に辿り着くと、保険医の先生は昼食中のため留守のようだった。
がらんとした気配を感じながらもそっとドアを開けてみると、一番奥のベッドのまわりをカーテンが囲んでいることに気づいた。
もしかしてとは思ったけれど、その中に藍くんがいるという確証はないため足音を忍ばせて近づき、揺れるカーテンの隙間から中をそっと確認する。
ベッドの上に、こんもりと山ができている。
そろーっと足音を忍ばせながらベッドに近づくと、布団の中ですやすやと眠る藍くんを見つけた。

