ひとつ下の由瑠と高校も一緒になった俺は、一緒にいる時間が増えるたび、屈託ない笑顔を向けてくる由瑠が、感情豊かにいろいろな話をしてくれる由瑠が、自分の中でますます大切な存在になっていった。
好き、という気持ちは、愛おしいという気持ちに変わった。
愛おしいという感情は、由瑠が俺にくれた。
けれど、高2のある冬の日。
由瑠から、大切な人ができたと告げられた。
忘れもしない。
天気雨が降る高校からの帰り道、歩道橋の上で頬赤らめた由瑠にそう告げられ、俺は突然失恋したのだ。
俺は生まれて初めての激しい嫉妬と絶望に駆られた。
その時の俺は自制心を失っていたのだと思う。
傘を放り投げると、強引に由瑠の唇を奪っていた。

