立ち尽くす俺の元に、彼女が駆け寄ってくる。
『なくしたもの、これですよね……!?』
『なんで……』
『おせっかいだったらごめんなさい。でもすごく大切なもののように思えたから……』
あれから3時間以上も経っている。
ずっと探していたっていうのか……?
見ず知らずの俺なんかのために?
手の中に帰ってきたピアスを見て、ひどく安心している自分がいた。
要らないとけりをつけたはずなのに、大事なものだと彼女は見透かしていた。
……そうか。
俺はまだ心のどこかで、だれかとの繋がりを求めていたんだ……。
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