『えと、ピアス……落として』 『どういうピアスですか?』 『フープピアス、だけど』 『わたしも探します』 思いがけない提案に、俺は驚く。 俺のことを怖がっているだろうに、どうしてそんなこと。 『別にもういいから。そんな特別なものでもないし』 『でも……』 『じゃ』 それだけ言って、踵を返す。 その時は親切な子、それだけの印象で、正反対の人生がこれから交じり合うことなんてないと思ってた。それなのに。