保健室前までやってくると、廊下はすでに藍くんの様子を見に来た女子たちで溢れていた。
「落ち着いて、ほら、教室に戻りなさい」
くろちゃん先生と呼ばれ親しまれている保険医の黒子先生が、生徒たちに退散するように促している。
けれど女子たちはその場から立ち去る気配はない。
先生には迷惑だとわかっているけれど、じっとしていることなんてできない。
わたしは人波を掻き分け黒子先生の元に駆け寄った。
「あの、藍くんになにがあったんですか……!」
不安で胸が今にも張り裂けそう。
震える声を張り上げ黒子先生にそう問えば、黒子先生はショートカットの髪を耳にかけながら忙しそうに答える。
「詳しいことは言えないの。ごめんなさいね。でも大丈夫だから教室に戻って」
そう言って先生は、わたしを教室に返そうとする。
するとその時だった。

