「もっと気持ちよくする?」 わたしは残った理性でふるふると首を横に振った。 「……もう、ゃだ……」 欲望に呑まれる自分の身体が、知らないものになっていくようで怖かった。 すると藍くんはネクタイを緩めながら、妖しく口角をあげた。 「お前の泣き顔そそるな。もっと泣かせたくなる」 「っ……」 ああ、最悪だ。 こんなことになってしまうなんて……。 わたしに覆いかぶさる危険な笑みが涙でじわっとぼやけた。