【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない





藍くんがわたしを連れてやって来たのは、近くにあるマンションだった。


なぜかカードキーを持っていた藍くんは、「父親のマンションだから」とだけ言って、迷うことない手つきで最上階の部屋へ向かう。


部屋は、キングベッドが据え置かれたスイートルームだった。

無駄なものはなく、シンプルながらとても高級感がある。

晴れていたら街が一望できるだろう大きな窓が、部屋の奥にはめこんである。

大きな照明はなく、ベッドサイドや部屋の隅に設置された間接照明が部屋をぼんやりと照らしていた。


「とりあえず、雨が落ち着くまでここにいるか」

「うん……」


まさかこんな大雨になってしまうなんて。

これじゃ花火も中止だ。

なにも言わずに花火大会を抜け出してしまったため、瑛麻ちゃんにお詫びの言葉と藍くんと雨宿りをしている旨、メッセージを入れておく。