その刹那。 藍くんの手がわたしの腕を掴んだかと思うと、花火とは反対方向に、藍くんがわたしを引っ張った。 人波を掻き分け、藍くんがどんどん進んでいく。 わたしは手を引かれるまま、その背中を追いかける。 花火に夢中になっている瑛麻ちゃんたちは、だれもこちらに気づかない。 わたしの腕を掴む手に、力がこもっている。 このままどこまでも行きたいと思った。 藍くんとなら、どこまでも。