『はいはい。』

日向の背中からセミをとると、日向はこちらを向いてムスっとした顔でこちらを見ていた。

俺は、そんなことまで知ってる。

素直で、怒るとムスっとした顔で頬をふくらませ、上目遣いでこちらを見ること。

目の前のことに一生懸命になることも、周りのことを気にかけてあげることができることも、俺は知っている。

なのに、何で、何で日向は俺のところへ来てくれない?

どうして穗貴先生と暮らすんだよ。

俺じゃ…だめなのか…。

彼女の寝顔をみればみるほどそう思えてくる。

そのまま、どうしていいのかわからずーー


俺はそっと、日向の首筋をなぞった。